第9話真実

「あの子はねえ、今思うと可愛そうだと思いました」

「私の夫は、あの子が1歳の時に死んでもうたんですよ」

「そして苦しい生活が続いていました。何個もパートを掛け持ちしましたよ。そんな私が、可哀想に見えたのかもしれません。あの子が16歳になったらバイトを始めてすごく助かりました。18になったら就職してずっと働いていました。でも、リストラされたんです」

「だいぶ苦しかったのですね」

「それでも、バイトをしてお金を入れてくれてたんです」

「でも、限界が来たんでしょうね」

「あの子は、刑務所に行こうとしたんです」

「え」

「なぜそんな急に?」

「私が、交通事故にあったのですよ」

「事故の医療費で、ほぼ全財産なくなったんですよ」

「だから、もう生きていけないと思い、事件を起こし、返り討ちにあって死んだんですよ」

「そうだったんですか、大変でしたね」






「お疲れ様でーす」

私は仕事が終わった後居酒屋に入った。

少し考えるか。






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