世界を魅了する歌姫の恋人は百年に一度目覚める

@ri-tyan

─歌姫の悩み─

桜の髪飾りが良く似合う綺麗な桃色の艶やかな髪…

翡翠色の飴玉のように透き通った綺麗な瞳…

茜色の着物 、美しい顔とそれに値する体つき

其だけで 彼女には十分…な筈なのに


「~♪︎」


其の歌声すらも、此の街を…此の国を…

魅力するものだった


だけど 誰も…

彼女の哀しげな瞳を喜ばせれなかった─


「“貴方”では 無ければ …意味等 無いのです…」

其が彼女の口癖だった。


そんな台詞に召使の麗は、困っていた。


「琴音 様 …そろそろ 婚約者 を 決めてもらわねば 困ります 。」


桃井 琴音 。

其が彼女の名前 だ 。


「…分かっています 、あの日御逢いに為さった方の事を未だに想ってらっしゃること等…」

「えぇ…まだ見付からないのですか…?」

「はい…我々も、出来る限りの力を尽くして、捜索しておりますが…まだ…何も…」

「そうですか…」

「…」

「帰って宜しい。」

「…失礼致しました…。」


「…貴方 は … 何処 へ … ?」


────10年前の夏────

私は、此の仕事が嫌になって 逃げ出した。

其の時 出逢った あの旅人 …


「どうしたんだい 君…

随分と動きずらそうな身なりだね?」

「へ、ぁ、…」


私は 驚いてしまったのです。

まさか、私を知らないなんて。そう。


「い、急いでいるので…!」

「、待って!

なんでそんなに急いでるの?」

「其、は、…」


其の時 、此の人にならば話して良い。

そう、思えた。


「仕事から 逃げてきたのです…」

「成る程つまりは追われてるかもしれない訳だね」

「はい…ですから、…」

「じゃあ、良い隠れ場 知ってるから おいでよ 」

「分かり、ました、…」


─その笑顔 に 、見とれてしまったの─


あの笑顔を…もう一度…


「見たい…」

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