わたしの幸せな結婚 短編集

雨宮 隅

わたしはもっと旦那様に触りたい。 2巻 終章の続き

(一)

 2巻最後の続きです。


 清霞きよかが出勤した後、もしよかったらと、美世みよあらたと葉月を家に上げ、昼食を振舞った。


 その席でも、先の美世と清霞のやり取りで盛り上がる二人。

 美世はだんだん自分が何か粗相そそうをしたのでは、と不安になり尋ねる。


「わたし、何か間違え、ましたか?」


「いえいえ」

「いいの、いいの」


 あの子にはそのくらい刺激があっていいのよ。


「いやあ、いいものを見られました」

「いいものを見られたわあ」


 あの朴念仁ぼくねんじんひたいに口づけとはねえ。


「く、口づけ!?」


 何ということだろう。

 清霞の熱を得たという額を慌てて触る。

 愛おしい清霞の体温。

 自分の熱で上書きされてしまっていて、口惜くちおしい。


「わ、わたしも」


「「?」」


「く、口づけ、したら、旦那様は嬉しいでしょうか?」


 二人は真顔になった後、顔を見合わせてから破顔する。


「「あははは!」」


 美世はびっくりして固まってしまう。


「ごめんなさい、笑って」


 そうねえ、と葉月は少し考えて、


「美世ちゃんは口づけしたいの?」

「は、はい。私はしたいです」


 わたしは、旦那様に触りたい。


「なら本人に言ってみたらいいんじゃない?」

「が、頑張ります」


 美世は二人を玄関で見送った。


「またどうなったかお話を聞かせてね」

「は、はい」


「あの子がどんな顔をするのか、今から楽しみだわ」

「きっと今頃、くしゃみをしていそうですね」


 新が茶化し、笑いが弾けた。


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