第47話

私とイネ、お由美の三人は庭に面した縁側に陣取ると本を開いた。



伊勢物語というのは平安時代の歌物語で、短い歌を連ねて作られていて、禁断の恋やら庶民の純愛話などもあるらしい。



結構頑張って字を教わり、なんとか一ページ目は読めた。



この調子で覚えていけばいずれさくさく読めるだろう。




問題は「書く」ほうだな……



時間的に一時間ほどやっただろうか。



部屋の外が騒がしくなった。




「なになに?」



「あっ!今日は竜さんが来る日だった」



「竜さん?」



「飾り職人よ。いつも吉原に簪を売りに来るの」

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