第37話
「で、お侍さんが夜遊びしないようにうちらも夜は営業できなくなったってわけ」
イネから聞かされたことは私が全然知らないことだった。
私は昔の吉原というと「夜賑やかな繁華街」、今で言う歌舞伎町みたいなイメージだった。
でも、夜営業してないなんて……全然知らなかったよ。
「でも、それならそれで夜は宴会や接待に呼ばれたりしてたしお客のところに昼間に行って止まることもできたわけよ」
接待に呼ばれるってコンパニオンみたいだな。
「お客が見世に使いを出すわけ。そうすると呼ばれた私たちが籠に揺られて行くわけよ」
「あれって何気に良かったよね!」
お由美とイネの話を聞いていると、外での飲食というのは下品というか、あまり褒められたものではないらしい。
少なくともそういう価値観があるのだ。
食事というものは「家」でとるものであり、遠出をするなら行く先にお願いして食事を用意してもらう。
そういうのが、お上品な人たちの生活なわけだ。
だから接待の宴会も自宅で開くようになる。
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