第4話 涙

俺の親友は、俺の弱点を探している。ずっと一緒に育った幼馴染。俺は、弱点を見せるのが苦手だ。小さな頃からずっと。故に、親友にも弱点を見せた事が無い。それは育った環境によるものだったのだろう。俺はいわゆる御曹司で、一族の弱みになるわけにはいかなくて。何度も親友に弱みを打ち明けようとした。けれど出来なかった。だって親友は、ライバル社の御曹司だから。いいとこの私立幼稚園で出会った俺達。表面状の関係を早く終わらせたかった。けれど、僕は完璧でいなければならない。その狭間にもがくうちに、俺は俺を見失っていった。俺は何を楽しいと思い、何を辛いと思ったのか。何が弱点で何を隠したかったのか。何もかもが分からなかった。生きる事に息苦しさを感じ、けど死ぬわけにもいかなくて。辛くて辛くて、死にたいと日常的に思う。そんな日々の中、親友は言った。


「お前。大丈夫、大丈夫言ってるけど、何一つ大丈夫じゃないだろ。無理すんな。」


その言葉を待っていたのかもしれない。俺の頬に涙が一筋、親友にバレないように拭った。

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