ブラックヴァルハラ 10万

第24話 ブラックファウンド

　冤罪事件を解決してから数日後、田熊は都内の古びた喫茶店に身を潜めていた。久々に心休まるひと時を過ごそうと、店の静かな雰囲気に身を預けていたが、ふとした視線に気づく。そこには、かつて共に事件を追った新聞記者、坂井が立っていた。

　再会

　坂井は田熊に驚きと懐かしさの入り混じった表情を浮かべていた。彼もまた、数多くの裏社会に関する記事を書いてきたが、その後、上層部からの圧力でいくつかの重要な記事がもみ消され、今では地方紙に左遷された状態だった。

「田熊さん…まだこの町で活動しているなんて思わなかったですよ」と坂井は静かに声をかけた。田熊はその言葉に少し苦笑いを浮かべ、「お互いにこの世界から抜けられない宿命なのかもしれないな」と応じた。

　闇の真実を追う決意

　坂井は、自身が現在追っている新たな事件について語り始めた。それは、政府や警察上層部が絡む大規模な裏金ルートに関する疑惑だった。この裏金は、表には決して出せないブラックファンドとして、政治家や大企業に流れ、さらには国外へも送金されているらしい。坂井はこの闇を暴こうとしていたが、証拠を掴むたびに脅迫や圧力がかかり、独力では到底解決に至らない状況にあった。

「田熊さん、あんたの力が必要なんです。この腐った体制を、一緒に崩壊させてくれませんか？」坂井の言葉には強い決意が込められていた。田熊は一瞬迷ったが、闇に生きながらも正義を貫く覚悟を再確認し、彼に協力することを決意する。

　ブラックヴァルハラの助力

　田熊は坂井にブラックヴァルハラの存在を明かし、今回の調査に仲間たちも巻き込む意向を伝えた。アヤカ、イサオ、ミカエル、ユウキは田熊の召集に応じ、それぞれの専門的な能力で事件を調査する準備を整えた。

　アヤカは政治家の周囲に近づき、暗殺者の技術で裏金ルートを探る。イサオは情報収集のネットワークを駆使し、資金の流れを追跡する。ミカエルは護衛として坂井を守り、敵の襲撃から彼を守る。そしてユウキはサイバーハッキングを駆使し、隠されたデータを暴き出す。

　決戦の日

　数週間にわたる調査の末、彼らはついに裏金ルートの核心に迫った。だが、その情報が公開されることを恐れた組織が、田熊たちを阻止しようと動き出した。激しい銃撃戦や追跡劇が繰り広げられる中、坂井もまた命をかけて真実を掴もうと奮闘した。

　そして最終的に、田熊と坂井のチームは裏金の決定的な証拠を手に入れ、全国紙へと情報を提供することに成功する。数日後、新聞の一面に大々的に報道された記事が、世間を揺るがし、腐敗した体制に大打撃を与えた。

　新たな別れ

　事件の後、坂井は感謝の言葉を田熊に伝えた。「あなたたちがいなければ、私は真実を掴むことはできなかった。ありがとう、田熊さん」しかし田熊は、坂井に静かに言った。「お互いに、それぞれの場所で戦い続けるだけだ。また会えることを願っているよ」

　さそうして田熊とブラックヴァルハラの仲間たちは、再び闇に消えていった。坂井は彼らの背中を見送りながら、正義の炎を胸に秘め、次なる戦いへと歩み出した。