ブラックヴァルハラ 10万

第22話 あさま山荘事件

　田熊とブラックヴァルハラの仲間たちが赤龍会幹部との激闘を制し、闇の組織を壊滅させた直後、突然異様な光が彼らを包んだ。目がくらむような閃光の後、周囲の景色が変わり、彼らは見覚えのない場所に立っていた。

　目の前には1972年、長野県の山間部に位置するあさま山荘が見える。彼らが着いた先は、日本を震撼させた「あさま山荘事件」が起きたその真っ只中だった。銃声が鳴り響き、警察や機動隊が山荘を包囲し、緊迫した空気が漂っている。田熊と仲間たちは、自分たちが過去に飛ばされたことを悟った。

　時代錯誤の戦い

　田熊たちは驚きながらも、現在の任務とは異なるこの歴史的な事件に巻き込まれることを避けようと決意する。しかし、タイムスリップした理由がわからない以上、元の時代に戻る方法を見つけるため、彼らはこの場を調査し始めた。

　そんな中、アヤカが現場に潜む異変を察知する。彼女は現代には存在しないような装備を身にまとった謎の兵士たちを発見する。彼らはどうやら、あさま山荘の過激派を狙っているわけではなく、田熊たちを待ち構えているかのようだった。この謎の兵士たちは、どこかブラックヴァルハラと似た組織に属している様子で、田熊たちを歴史の「影」を消すべき存在とみなしているようだった。

　現代の知恵と技術で歴史を超える

　田熊は仲間たちに指示を出し、あさま山荘の近辺に身を潜める。ユウキは持ち前のハッキング能力を活かし、周囲の古い通信設備を操りながら、謎の兵士たちの情報を収集する。イサオは監視を行い、兵士たちの移動ルートを予測することで仲間たちを誘導する。一方、ミカエルはその巨体と格闘技術で正面から兵士たちを牽制する。

　彼らは、現代のスキルと装備を活かし、あくまで目立たぬよう、そして日本の歴史を乱さぬように兵士たちを一掃していった。田熊はサクマから教えられた教訓、「闇を制すること」を胸に刻み、未来を変えずに生き延びるため、静かに敵を排除していく。

　帰還の鍵

　すべての敵を制圧した後、彼らは謎の兵士たちが落とした装置を発見する。ユウキがその装置を解析すると、それがタイムトラベルに関わる技術であることがわかる。彼らが過去に飛ばされたのは、この装置が不安定な状態で作動したためだと推測した。

　ユウキは装置を修理し、元の時代に戻るための準備を整える。タイムスリップのエネルギーが充填されるまでの短い時間、田熊と仲間たちは歴史の影に留まり、事件の余波に巻き込まれないよう、慎重に隠れる。

　装置が作動すると、彼らは再び光に包まれ、気がつくとブラックヴァルハラの本部に戻っていた。過去の経験を胸に刻み、田熊と仲間たちは改めて自分たちの使命を再認識し、次なる戦いへと歩み出すのだった。

　こうして、闇の中で輝く「影の軍団」ブラックヴァルハラの物語は新たな章を迎えることとなる。