第11話 九尾の狐
夜も更けて寒さが本格的となる。
夜の20時。
僕は藤元の自宅にいた。
C区の追っ手からなんとか逃げ切って、キッチンでコーヒーを頂いている。フェラーリもボロボロになったため。現在、近くの車屋さんで新しい車を頼んでいる。
「もうそろそろ。夜の番組が始まっちゃうから、ここにいてね。ここなら僕のバリアー(?)があるから平気なんだ」
藤元は何故か僕に優しかった。2年前の野球でA区の人たちを酷い目に合わせた僕のことをどう思っているのだろう?
藤元は鼻歌を歌いながら、黒いコートを羽織った。
「じゃ、行ってくるね」
マルカとヨハは、広く全体的に黒が基調のキッチンのテーブルで、椅子に居住まいを正していた。
「藤元様~~。ありがとう~ございました~~」
「藤元様。お気を付けて下さい……」
マルカが僕を見つめた。
僕は頷いた。
マルカは護衛のために藤元の後を追った。その後は、九尾の狐の情報入手だ。
マルカが出ていくと、ヨハが僕の腕の包帯を点検してくれた。
血が滲んでいてヨハが険しい顔をしたが、止血剤を打てば大事はないだろうと言った。
しばらくすると、ヨハがキッチンにある真っ黒いテレビを点けた。
「お久――!! 云・話・事・町・TV!! オッケー!!」
ピンクのコートを着た美人のアナウンサーは、ピンクのマイク片手に傘をさして、A区の町並みを背景にしている。
雨が降り出していた。
「藤元さん。今日は寒いっっですね!!」
「ええっ!?」
藤元は傘を振り回し、能天気に鼻歌を歌っていた。
「今日の午後に、国道30号線でまたまたカーチェイス・アーンド・銃撃戦が起きたッス。最近多いですねー。怪我人だけでたそうです。でも、怪我人たちは口をそろえて何故か事故のことをよく覚えていないとほざいていました。そして、またあの謎の男が関係してるッス。惚れちゃいそうですねーー」
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