Storm & Magma

@petitonneau

第1章:序章 - 元素の覚醒

空が荒れ狂っていた。


広大な平原は、怒り狂う風に吹き荒れ、遠くの地平線には一人の人影が佇んでいた。黒く重い雲が空を覆い、まるで大海原の波のようにうねりながら、嵐の中でうごめいていた。雷鳴が轟き、稲妻が空を引き裂き、大地に精密に打ち込まれた。空気には電気が充満し、エネルギーが肌で感じられるほどだった。この嵐はただの自然現象ではなく、不穏な兆候であった。


かつて「エレクトリン族」の聖域とされたルナリスの塔は、忘れ去られた古の遺跡としてそびえ立ち、長い年月を経て、数えきれない嵐の洗礼を受けてきた。その石壁には古代の刻印が残り、神秘的な力が秘められていると言われている。この遺跡の存在が、今も未知の力を引き寄せ、恐れることなくこの地に足を踏み入れる者を待ち続けていた。


ここに佇むのは、嵐の巫女リサラ。稲妻に溶け込むかのような薄衣を身にまとい、彼女は空に向かって両手を掲げた。その白く光る瞳は、嵐の激しさを反射していた。彼女が空気中に感じ取っていたものは、ただの嵐の気まぐれではなかった。地中深くに眠る力が目を覚まし、世界の均衡が脅かされつつあったのだ。


リサラは目を閉じ、骨の髄まで響く振動と、大地を伝わるエネルギーに意識を集中させた。**「永遠の均衡」**が崩れようとしている。その予兆が、彼女に明確に感じ取れた。


彼女は塔の古代の刻印に目を移し、指先でそのシンボルをなぞるように触れた。古の伝説によれば、元素の均衡が崩れるとき、自然の力が解き放たれ、融合し、そして衝突するという。選ばれし者たちが現れ、世界を救うか、あるいは破滅させる運命にあるとされていた。


そのとき、足元で鈍い音が響き、大地が少しずつ裂け始めた。地面の裂け目から熱い蒸気が立ち上がり、塔の一部が赤く輝き出した。それは明らかな警告であり、予兆だった…地中深くのマグマの炎が活発化している兆しだった。


リサラは息を呑んで一歩後ずさりした。彼女はすぐに雷帝フルミナに警告を伝えなければならなかった。もしこれが彼女の恐れていたものならば、元素の力が制御不能に暴走するかもしれない。すべての元素を操ることができる唯一の存在であるフルミナだけが、この均衡を取り戻す可能性を持っているのだ。


火山洞窟の奥深く、マグナリオンでは、戦いの太鼓が鳴り響いていた。マグマの巨人であるマグモールは、溶岩でできた玉座に座り、彼自身もまた地の底からの揺れを感じ取っていた。彼の燃えるような眼差しが山の中心に向けられる。彼の国の地下に流れるマグマは、これまでにない強さで脈動し始めていた。彼の中に眠る神々の囁きが、彼に大いなる力を約束していた。


「均衡が崩れる…準備せよ」


マグモールはゆっくりと立ち上がり、巨体が王座の間に圧倒的な影を落とした。その手には、溶岩に包まれた伝説の武器ヴァルカンの心が握られていた。炎の力が活発化している今、何か大きなことが始まろうとしている。それを感じ取り、彼は準備を整えた。

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