第42話 神里と星
俺は小説を書き始めて15000文字を書いた。
それから帰宅途中でまたざっと3000文字書いた。
計18000文字。
この調子でいけばきっと小説は10万文字に達して終わるだろう。
だけどそうはいかない。
何故なら色々イベントが学校であるから、だ。
「和馬さん」
「葉月」
家に帰るなり葉月が声をかけてきた。
葉月は普段着を着て柔和な感じで俺を迎える。
俺はそんな葉月に言った。
小説を応募する事などを、だ。
「そうなんだ。...でも和馬さんがやりたい様にやるのが一番だと思う」
「だな。それで伝説文庫に応募しようって思ってな」
「凄いね。伝説文庫っていったら結構有名な所だよね」
「ああ。...だけどアイツが言っていたから。瀬戸口がな。...煩く」
「そうなんだね」
「だから応募してみようって思ってな。言うてあと3カ月しか猶予が無いけど」
「大変だね?」
「そこそこには大変だな」
それから俺は首を回す。
そして鞄を持ってから室内に入る。
すると葉月が「さっきまでちーちゃんが居て」と言ってくる。
ああ...千夏さんか。
「何かあったのか?」
「ううん。またコスプレしようって言ってきたの」
「ああ。そうなんだな」
「うん。...コスプレは良いよねぇ」
「そうだな。お前コスプレ好きだもんな」
そして俺は葉月を見る。
葉月はニコニコしながら嬉しそうに俺に話してくる。
相変わらず可愛いもんだな。
俺の彼女は。
そう思いながら気が付くと俺は葉月の手を握っていた。
「へ?か、和馬さん?」
「あ、すまん」
「ど、どうしたんですか?」
「いや。お前が可愛いなって思ってな」
「か、可愛いって...」
「いつでもそうだけど。...俺の彼女は最高に可愛いよ」
「もう。和馬さんのエッチ」
それから葉月は頬を膨らませる。
俺は苦笑しながら葉月を見る。
だけどこれは本心だ。
葉月が心底から好きなので。
そう考えながら俺は恥じらう葉月を見る。
「なあ。葉月」
「は、はい」
「改めて俺の恋人になってくれてありがとう」
「...はい」
そして葉月を引き寄せる俺。
俺はそのまま葉月と見つめ合う。
それから俺は「ゴメン。葉月。我慢できないや」と言いながら葉月にキスをした。
すると葉月は驚きながらもその唇を受け入れてくれた。
「もう。和馬さんってば」
「...ゴメンな」
「良いですよ。...でもエッチです」
「...はは」
それから葉月を見ていると葉月は手を広げた。
そして俺にこう言ってくる。
「抱き締めて下さい」と、だ。
俺はその言葉に赤くなりながらも葉月を抱き締めた。
そうしてから葉月の頭を撫でる。
「...落ち着きます」
「こんな事で落ち着くんだな」
「そうですね。私は...甘えたがりなので」
「...ああ」
「でも本当に落ち着くんです」
「...」
俺はその言葉を受けながら葉月を見る。
葉月は俺の胸に寄り添って来てスリスリしてくる。
まるで犬か猫だ。
その姿が愛おしく俺はまた葉月の頭を撫でた。
「...勉強は出来ているか?」
「はい。...将来に向けて。...和馬さんと幸せになりたいですし」
「...成程な」
「和馬さん。大好きです」
それから俺達は暫く抱き合ってから洗濯機の止まる音がして葉月は洗濯物を干しに家事をしに行った。
俺は見送ってから伸びをする。
そして俺はスマホを見た。
小説でも打つか。
それとも勉強するか。
「...まあ多少打ってから話を進めるか。...神里の許可も得たしな」
俺はそう呟きながらヒロインの友人に神里を当てる事にした。
それから俺は文章を刻んでいく。
ワードの中に刻んでいく。
それから数百文字打ったところでインターフォンが鳴った。
「?」
立ち上がりながら俺はインターフォンを覗く。
そこに手を振っている星と。
神里?が居た。
俺は驚きながらドアを開ける。
すると「やっほー」と星が言ってきた。
「何をしているんだ?」
「うん。応援しに来た」
「神里は?」
「アタシは無理矢理連れて来られた」
「...そうか。上がってくれ」
そして俺は2人を招き入れる。
俺は靴を脱いでいる神里を見た。
神里は目をパチクリしながら「何だよ」と言ってくる。
「体調の面は大丈夫か」
「ああ。それか。...まあ抗がん剤とかで安定はしているけど。...いつ死んでもおかしくないしな」
「もー!由紀子。そんな事言わないの」
「い、いやだってマジだし」
「マジでも言わないの」
それから怒る星と一緒に神里が上がって来る。
すると奥から葉月がやって来た。
葉月はメンバーを見てびっくりしている。
「由紀子さん」
「よお」
「...お元気ですか?」
「ああ。元気だよ」
神里は笑みを浮かべながら歩く。
するといきなり躓いてから手すりを持った。
俺はその姿を見ながら「...」となってから「神里。支えようか」と言う。
だが神里は首を振って「いや。良い。やれるとこまではやってみたいんだ」と言ってから俺達を見る。
「大丈夫なのかな」
「神里が言っているんだから助けは要らないと思う。...ただこけたら怖いから見守りは必要かもな」
「そうだね。和馬さん」
それから俺達はリビングに行く。
そして俺達は椅子に神里を支えて座らせる。
星は「由紀子。何かあったら言ってね」と言う。
神里は「ああ」と返事をした。
俺はその姿を見ながら「で?応援って言ってたけど本当にお前ら何をしに来たんだよ」と聞いてみる。
「うん。...ネタを持ってきたの」
「ネタ?」
「小説ネタだよ」
「...アタシも」
「...そんなに心配せんでも失敗しても来年もあるしな」
「まあでもやるだけやってみるってのは大切だと思うしね」
「...とっておきのネタも提供してやったんだ。来年じゃなくてアタシが生きている間に完成させろ」
「...」
俺は考え込む。
そうか...神里...。
確かにコイツのネタを使わせてもらったしな。
そう思うと俄然やる気が出るな。
「...神里」
神里の手を握る。
すると神里は「はふゃ!?」と声を発した。
それから真っ赤に赤面する。
俺はそれでも構わず「ありがとう」と真剣な顔をした。
「...お前のお陰でビンタされた気分だ」
「アタシは...何も...ってか手を離せコラ!」
「ああ。すまん」
それから俺と葉月は椅子に腰掛けた。
そして改めて神里と星を見る。
小説のネタ、か。
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