第40話 小説の応募

俺は学校に行く為に靴を履く。

すると背後から葉月が何かを差し出してきた。

それはお弁当だった。

俺は葉月を見る。


「変わらずだな」

「うん。しっかり食べてほしいから」

「...そこまで心配しなくてもまともなもんは食っているぞ。俺は」

「ダメダメ。そんな物じゃ心配になる」

「...そうか」


そして俺は葉月からお弁当を受け取る。

それから葉月の頭を撫でた。

すると葉月は「...」となった。

そうしてからこう話す。


「昨日はごめんなさい」

「...何が?」

「襲撃したりして」

「...あ、ああ。もう良いって。その事は」

「...だけど色々とまだ早いよね。...私、そう思ったから」

「そうだな...そう思ってくれただけでも有難い」


俺は葉月の頭を撫でてから「じゃあ行ってくる」と玄関を開ける。

それから葉月に見送られながら俺は表に出る。

そして俺は歩き始めた。

今日もさんさん晴れだな、と思いながら、だ。


そう思いながら歩いていると目の前から見知った人物が歩いて来た。

それは星だった。

俺を見てから「やあやあ」と言ってくる。

その顔に苦笑した。


「何だよ」

「良い勝負だったよ。和ちゃん」

「...そうだな。俺もお前と勝負出来る日が来るなんて思ってなかった」

「で。...和ちゃん。ちょっと考えがあるんだけど」

「...ん?どういう考えだ」

「共同制作しない?」

「...え?」


俺はビックリしながら星を見る。

星は俺を見ながら「共同制作だよ。...一緒に創った方が楽しいよ。きっと」と柔和になってから俺の顔を見た。

その姿に俺はまた苦笑する。


「確かにそうだな。やってみるか」

「そうだね。...じゃあどうする?シナリオとか」

「そういう系はまた考え込まないと」

「そうだねぇ」


星はニコッとしながら考える。

そんな姿に俺は歩き出した。

星も背後を付いて来る。


「何ていうかラブコメはどうかな」

「そうだな。お前の得意分野に合わせよう。じゃないと...」

「いやいや。和ちゃんも得意でしょ」

「ああ。それで合わせてくれたのか。ありがとうな」

「...でもそれだとリアリティが無いから...今の私達の関係を捻って書いたら?」

「俺と葉月達、お前の関係性のラブコメか?」

「そうそう。それは楽しいんじゃないかな。勿論、全部出したら個人情報がアレになっちゃうけど」

「...そうだな。面白そうだ」


そして俺達は歩く。

並木道を通り抜け俺達は川沿いを歩く。

それから高校にやって来ると...高島がまた事前活動をしていた。

俺はその姿を見ながら「よお」と声をかける。

すると高島は顔を上げた。


「やあ。おはよう。...寝不足かい?」

「え?!あ、ああ。まあな」

「そうか。寝不足は良くないな。身体にはね。...ちゃんと食事、運動などはしているかい?」

「...ああ。まあな」

「なら...ちゃんと寝れなかった理由がありそうだね」

「...そうだな。まあ...色々な」


苦笑する俺。

高島は風が吹く世界を見下ろしながら微笑んだ。

それから「せいちゃんもおはよう」と高島は星にも挨拶する。

星は「おはよう。たっちゃん」と笑顔になる。


「なあ。...高島」

「...ああ。どうした」

「失礼かもしれないけどさ。...お前と星が付き合うのは無理なのか?」

「...俺にはそんな力は無いよ。...情けない存在だからね。この前も言ったけど」

「いや。そうは思わないんだ。...お前。もしかして星が好きなんじゃないかって」

「...せいちゃん...との関係はあくまで幼馴染の関係さ。それまでだよ」


そして木の葉が舞う。

それから俺達に舞い落ちる。

俺はその様子を見ながら「そうなんだな」と返事をす流。

高島は「...心配有難うな」と笑顔になる。


「...なあ。そういえば話は変わるけどさ。...君もやってみないか。この活動」

「...えー...面倒臭いなぁ」

「そう言うな。...寝不足も解消されるぞ?」

「まあそうかもしれないけどさ...」


俺は顔を引き攣らせながら考え込む。

それから「良いじゃん。やってみたら。和ちゃん」と言う。

その言葉に後押され俺は「分かったよ」と言いながら高島を見る。


「じゃあ会員登録しておいてくれるか」

「うん。サンキューだ。参加登録しておくよ」

「...ああ」


そして俺は校門内に入る。

すると目の前から声がした。

その人物は瀬戸口だった。

あのキャラ強そうな野郎である。


「やっと見つけったっすよ!!!!!」

「お、おう?瀬戸口。どうしたんだ」

「小説コンテストに応募しましょう!!!!!」

「は!?」


そんな感じで日々は過ぎていく。

瀬戸口の言葉に俺は案内表を見る。

そして星と顔を見合わせてから考え込む。

うーん...そうだな。

応募してみるか...?

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