第31話
「熱で頭が
静寂の中飛んできた低音に肩を上げ恐る恐る振り返ると、ネクタイを緩めながらリビングの入口に寄り掛かっている張本人の姿を見た。
「えっどうして、仕事中じゃ」
男は疑問を投げ掛けた私に逃走の間も与えず急速に歩み寄り、壁際に寄せ、腰を持って乱雑に額を合わせた。
「いっ」
「精気の吸われすぎでしなれたら困るからな」
そう口にして腰を屈め、目線を合わした目も眩む美形。やや垂れ目を囲う長い睫毛の下、右目の下の黒子がセクシー。言っていることはファンタジー。
「食欲湧いたから起きてきたんだよなァ。
それからそれから、良い匂い…。
「おい」
「ギャァ」
「寝んな。俺に聞かれたら瀕死状態だったとしても答えてから逝けと教えたの忘れたか?」
教えられたっけ。
一応過去を思い返してみたが男が沈黙を広げた為、急いで「そうですお腹が空いて」と答えた。
「あっ」
大事なことを思い出した。聞きたいことは沢山あるけれど、
「あの」
「あ?」
「服」
見上げた先の表情を変えない男は、私を足元から見下ろし、屈んだと同時にTシャツの裾を捲し上げた。
スル、と横っ腹を這う感覚に身を捩るとそのまま——
「待っ」
下着を着けていなかったことを思い出して咄嗟に男を止めようと頭を抱え込むも遅く。
男は私の胸に、舌を這わせた。
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