第11話

赤ちゃんだと言われて、意地でも大人になってやろうと思った。



正しさの意味も、強さの意味も曖昧なのに、漠然とした目標に向かって、藻がき苦しみながら、息も出来ないのに走り出した。



本当のあたしは何処にいるの?

本当のあたしじゃ駄目なの?



そんな疑問を無視して、ゴールの存在の有無も知らずに走っていたあたしに、



ーーーノアが赤ちゃんだって大人だって、俺は何も変わらないけどーーー


ーーーノアは逃げてるよ。全く自分と向き合おうとしてないーーー




何に必死になれば良いのか教えてくれたのはハルだった。


あの時はとても厳しい言葉だと思ったけど、今は分かる。


あんなに優しく叱ってくれる人はなかなかいない。

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