第24話 水瀬愛理の想いは一方通行です ACT2
寝ぼけ眼で珈琲を淹れる。
なんだか頭がぼんやりする。
でも、何とか目を覚ますと私は軽くシャワーを浴びて身支度を始めた。
「今日はどうする? どれが一番いい?」
クローゼットを開いて頭を抱える。
う~ん……どれを着て行こうかな……先輩が好きそうな服はどれかなぁ? こんなことなら昨日のうちに選んでおけばよかったよ! 後悔先に立たず……だなこれは。とりあえず手に取ったワンピに着替えてみたけどこれってちょっと子供っぽすぎるかな? ああもうどうしたらいいんだよぉ~!先輩を待たせるわけにはいかないし……。
「もう、しょうがないや」
私は適当に選んで玄関を出たのだった。
結局散々悩んだ挙句これに決めたんだけど、これってちょっと子供っぽいよね……まぁ先輩は優しいからそんなことで怒ったりはしないだろうけどさ。でもさなんかちょっと意識してほしいっていうかなんていうか……ああ! わけわかんなくなってきたよぉ~!
私はそんなことを考えながら先輩の部屋に向かうのだった。
「おはようございます」
私はそう言って先輩の部屋の呼び鈴を鳴らす。すると中から先輩がドアを開けて出迎えてくれる。
「おはよう」
ああ……なんか嬉しいかも!
「あのぉ……」
私がそう言いかけたところで、繭ちゃんが奥から出てくる。
何よこの子! なんでいつもタイミング悪い時に出てくるのよ! しかも今日はなんかちょっと大人っぽい服着てるし……。
「あれ? 先輩?」
あ~もう、またこのパターンなの?
ああもう、ここははっきりさせとかないと。
私は意を決して先輩に告げたのだった。
「あのぉ……今日私と一緒に映画見に行きませんか?」
そう、今日は先輩とデートの日だ! でもなんか繭ちゃんがいるしちょっと不安だけど……まぁ大丈夫よね?
「え!」
先輩は驚いたような声を上げるとそのまま固まってしまう。
あちゃぁ……やっぱりいきなりは無理があったかな?
「あ、あの」
あ~もうどうしよう……やっぱりいきなりすぎたかなぁ。
「ああ、いいよ」
先輩は我に返ったようにそう言って私に微笑みかけてくれる。
やった! 先輩のOKが出たぁ~! 私は心の中でガッツポーズをする。そして繭ちゃんのほうをちらりとみるとなんだか面白くなさそうな顔をしてこっちを見ているのだった。
「で、なんの映画を見るんだ?」
先輩はそう言って私に問いかけてくる。
ああ……そういえば決めてなかったかも! どうしよう? どんな映画がいいのかな? やっぱり恋愛モノかなぁ? でもちょっと子供っぽいかな? ああもうどうしたらいいんだよぉ~! 私は心の中で頭を抱えながら必死に考えを巡らせる。すると先輩が助け舟を出してくれた。
「じゃあさ、これなんかどう?」
そう言って先輩が見せてきたスマホには今話題の恋愛映画のポスターが映し出されていた。
あ~これならいいかも! でも、繭ちゃんが本当にこの映画に興味あるかどうかはわからないけどね。
「いいですね!」
私はそう言って先輩の提案に賛成するのだった。
「じゃあ行こう」
先輩はそういうと部屋を出て行ってしまう。
あ~もうちょっと待ってよぉ~! 私も慌てて先輩の後を追うように部屋を出るのだった。
先輩と映画館に来た私だったけど……。隣に繭ちゃんもしっかりといる。もう本当は先輩と二人っきりがいいんだけど! と、私は心の中でそう叫びつつ、先輩のほうを見る。すると先輩はスクリーンに映し出されている映像に夢中になっているようだった。
ああ、やっぱりかっこいいなぁ~。あ~でも今は私の隣に繭ちゃんがいるんだよね……はぁ~あ。
私は思わずため息をついてしまうのだった。
「どうした?」
先輩が私のほうに視線を向ける。
「いえ……」
私は慌てて視線を逸らすとそのまま黙り込んでしまった。だってさ、今ここで繭ちゃんのことを聞くわけにもいかないじゃない? 私は意を決して口を開く。
「あのぉ」
「ん?」
あ~やっぱり気になるよぉ~! でも今は聞かない方がいいよね……多分。ここは我慢だ! うん。ああ、なんか心がもやもやするぅ~! もうこうなったら思い切って聞いてみようかな……ううんダメダメ! そんなことをしたらせっかくいい感じなのに台無しになっちゃうじゃん! あぁもうどうしたらいいんだろう……。
私が頭の中で葛藤している間も映画はどんどん進んでいく。
ああ、結局最後まで全然楽しめなかったよぉぉ~! もう最悪! 私は心の中で叫びつつ、映画館を後にするのだった。
「面白かったな!」
先輩は興奮した様子で言う。うう~私的には全然面白くないよぉぉぉ~! でもそんなことを言うわけにもいかず、私は作り笑いを浮かべながら先輩に相槌を打つ。
あ~なんか本当に疲れたかも……はぁ~あ。
「あのぉ……」
繭ちゃんが遠慮がちに口を開くと先輩のほうを見る。
「ん?」
ああ、やっぱり気になるよぉ~! だってさ、この子って絶対先輩のこと好きだよね? しかもかなり本気モードだよね?
「繭ちゃんて……先輩のこと好きなの?」
あ~ついに聞いちゃったよ私。もう後戻りできないからね! 大丈夫なのこれ!? でも、私の心配をよそに繭ちゃんはあっさりと答えてくれた。
「はい」
やっぱりそうか……まぁわかってたけどさ。でもなんか悔しいなぁ……だってこの子って本当に可愛いし、それに何より素直だしいい子だもん。私が勝てる要素なんて一つもないじゃんか! ああもうどうしたらいいんだよぉ~! 私は心の中で叫びつつ、繭ちゃんを横目で見る。すると彼女は私を見てにっこりと微笑んで見せたのだった。
うう……なんか怖いんですけど! この子絶対私のことライバル視してるよね? ああもうどうしよう……本当にどうしたらいいのよぉ~!
「先輩」
私は意を決して先輩に声をかける。
「ん?」
ああ、やっぱり緊張するなぁ~でもここははっきりさせなきゃだよね?
「あのぉ」
私は思い切って口を開く。そしてそのまま一気にまくしたてた。
「私と付き合ってください!」
あ~言っちゃったよ私! もう後戻りできないからね。でも、これでよかったんだよきっと……だって私は先輩のことが好きなんだもの!
「え?」
あ~どうしよう?やっぱり困らせちゃったかな? ああ、なんか泣きそうかも……。
でもここで泣いたら先輩が困るよね? 我慢しなきゃ!
私の言葉に先輩は一瞬戸惑ったような表情を見せたけど、すぐに笑顔になった。
ああよかった……これで一安心だよ。ああもう本当に緊張したよぉ~。
私はほっと胸をなでおろすのだった。
「あのぉ……」
あ~やっぱり気になるなぁ~! 一体どうなってるんだろ? 先輩も繭ちゃんも一体何考えてるんだか全然わかんないよぉぉ~! もうこうなったら直接聞いてみようっと!
「あのぉ……」
私が声をかけると、先輩は不思議そうな顔でこっちを見た。
「ん?」
ああもう……やっぱり聞けないよぉ~! 私は心の中で叫ぶとそのまま黙り込んでしまうのだった。
うう……でも気になるものは気になるんだよぉ~!! ああもうどうしよう?どうしたらいいのぉ~!? 私は頭を抱えながら悶々としていた。
するとそこに繭ちゃんがやってきて私に声をかける。
あ~もう本当に勘弁してよ! なんでこの子ってこんなにタイミングが悪いわけぇ!? 私は心の中で絶叫する。しかしそんなことはお構いなしに繭ちゃんは口を開いた。
「水瀬さん?」
うう……やっぱり来たよこの子! ああもうどうしたらいいのぉ~!? 私はパニック状態になりながらもなんとか平静を装う。すると先輩は繭ちゃんのほうを向いて返事をしたのだった。
ああもう本当になんなのよぉ~! この空気感! 誰か何とかしてぇ~!! 私は心の中で叫ぶがもちろん誰も助けてくれるはずもなく、ただ時間だけが過ぎていくのだった。
「あのぉ……」
あ~もう気になるなぁ~!
一体どうなってるんだろう? この二人の本当の関係は?
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