第8話

『魔物の侵攻及び戦闘の開始を検知しました。』


レベル10000達成特典を取得しました。

☆特典内容

・魔力(ポーション)の枯渇(魔力切れ、ポーション切れ)を無くしました。

→魔力量が無限になりました。

・【追加】する際、その時の状況に応じたスキルの候補を表示するようになりました。

・所持しているスキルのレベルを自動的にチートへと変換いたします。よって、スキルのレベルの表記を消します。

・役職「スキル使い」を追加しました。


えっとー、、、なんでこうなった?

〘始まりの森〙から元の世界(てか〘現実〙でいっか……)に戻ってきたんだが、魔力だの殺気だのが可視化できるほどに増大していて、いつの間にかレベルが10000になっていて、その特典だかなんだか魔力の底がなくなってスキルが全部レベルチートになって…………

いや、情報量多すぎない?


「テウス様。何をしてるのですか。早く魔物共を潰しますよ!」

「魔物、潰す。」

何だかアクラとスクティスはめちゃやる気あるっぽいし…


そんな感じでテウスがノロノロしていると、いきなりテウス達がいる部屋の扉が開いた。

「テウス・エウテュスよ、今ここで我とそなたの決闘を申し込む。逃げることは許さぬ。」

灰色の角を輝かせた男が入ってきた。


――だからさ、情報量多すぎだって。


「こいつ、知ってる。」

スクティスが声をいつも異常に小さくしていってくる。

「テウス様、逃げたほうがよろしいです。」

アクラもスクティスと同じように言ってくる。

「ほうほう、これはこれは。強力な魔力を感じると思ったら、魔法神様と守護神様じゃないですか」

男はアクラとスクティスを交互に見て気味の悪い笑いに口端を緩めながら言ってきた。

「こいつは、かつての魔王を封印した賢者の一人、"陰"の賢者、悪魔族のスコトスです。魔王封印のあと、コヤツはいつの間にか姿をくらましていました。私達も探していたのですが……」

「今の、こいつ、やばい。殺気、やばい。やばいやばいやばいやばい………」

アクラと「やばいボット」になっているスクティスが言ってきた。

あららぁ、スクティスの頭から煙出てきちゃった……

「スコトス…陰の賢者の力は、周りから様々なものを隠すこと、錯乱させること、隠蔽することです。」

「ま、逃げればいいってことっしょ。」

てことで……ダッシュ!!幸いなことに、この部屋は協会に連接されている孤児院の角部屋だ。裏口から出たら、外だ。


テウスは裏口へと駆け出した。そして、裏口のドアノブを掴み、手をひねり、裏口の扉を開けた。これで逃げられると確信した。

が、扉を開けると、そこに広がってたのは、灰色で覆い尽くされた空間だった。

いつもの裏庭ではない、まるで、そこだけが、元の空間から切り取られ、元の空間を隠し込んでいるような感じだった。


「我から逃れようとは馬鹿なことを」

スコトスが呆れたように言ってきたが、テウスはその時、全く焦っていなかった。

むしろ、その小さな顔に小さな笑みを浮かべていた。

―――テウスの眼の前には、円型の青い半透明の板が浮かんでいた。


「【干渉】」

テウスが自分にしか聞こえないほど小さな声でいうと、円型のボード、スキルボードの目の紋章が薄く光った。


☆【干渉】の派生スキル一覧

・【停止】・・・スキルを一時停止します。

・【弱化】・・・スキルの性能を落とします。

・【強化】・・・スキルの性能を上げます。

・【強奪】・・・干渉した相手のスキルを強奪します。(【干渉】【削除】【追加】の合わせスキルです。)

なお、【干渉】と同時に他の【スキル】を使用すると、干渉した相手に効果をもたらします。


スコトス

スキル:【アイ・スパイ】・・・自分の目を霊化し、自分が見たい対象のものを見ることができる。【遠視】の最上級スキル。

    【イアー・スパイ】・・・自分の耳を霊化し、自分が聞きたい対象のものを聞くことができる。【遠聴】の最上級スキル。

    【ノーズ・スパイ】・・・自分の鼻を霊化し、自分がかぎたい対象の匂いを嗅ぐことができる。【嗅覚向上】の最上級スキル。

    【パーフェクト・シャドウ】・・・自分または対象の魔力や気配を完全に体に秘めさせることで100%周りから気づかれなくする。

    【結界術"陰"】・・・灰色の"陰"の魔力を張った結界を展開する。魔力探知や気配察知などの探知系能力を一切無効化する。


ふむ、じゃぁ、今僕達を囲っているのは【結界術"陰"】かな?

まぁ、意味ないけど。

「スコトスの全スキルを【停止】」

すると、テウスたちの周りを囲っていた灰色の結界が蒸発するように消えていった。

流石にスコトスも驚いたようだ。


「我の結界が……いや、それだけではない、スキルが使えない………!」

しかし、

「そうだよね。まぁ、相手が悪かったってことでいいよね?僕になんの恨みがあるのかわからないけど、とりあえず、今の君は不法侵入者だから、ちょっと静かにしててもらおうかな、【空間作成】〘牢獄〙。」

テウスがそう言うと、スコトスの眼の前に新たなゲートが現れ、言葉一つ発する前にスコトスは〘牢獄〙の中へと飲み込まれてしまった。



ゲートが閉じ、一悶着過ぎたがテウスはまだその緊張感をほどかなかった。

むしろより一層しかめっ面になりながら、周りを見渡した。

村中に魔物が溢れかえっていた。

いや、もしかしたら、王国中かもしれない。

テウスはため息を付き、隣りにいるアクラとスクティスに行った。

「行くか。どう見ても異常事態だ。」


アクラとスクティスを真っ直ぐ見るその青い目は古き勇者の目と同じものであった。

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