第10話 混ぜると危険

 それは奇蹟の光。


 触れた瞬間、奴らが消えていった。

 その広がりは、数十メートルくらい。

 そしてまぶしい。


 そして建物までが綺麗になっていた。

 オッサンが…… 多少色白になって汗臭さがなくなった。


「混ぜるとすごいな」

 この時俺らは、危険さを知らなかった。


 浄化をするのは良いが、ある程度からは服なども汚れと認識されるらしく、オッサン達の服が、所々消えていた。


 脇の下や股間、ピンポイントに布がなくなっている。

「バカやっぱり危険じゃないか」

「そうだな」

 そう言って振り返ると、幾人かは横を向いていたが、幾人かはぶらぶらする物を凝視していた。

 まあ色々興味が湧く年頃、仕方ないだろう。


 だが……

「澪、それと結愛。そんなに気になるのか?」

「えっいや別に…… やあねえ」

 そう言って、顔を横に向けて、吹けない口笛を拭く。


 だが、指が意味深な輪っかを作っている。

 虐めてやる。



 とりあえず、もろだし兵士達と共に外に出る。


 向こうの通りなどは、まだ騒ぎが聞こえる。

「向こうだ行くぞ」

 俺達は走って行く。


 だが兵の、鍛え上がったプリケツが目の前で揺れる。

 美少年兵士プリケツ……

 オレも疲れで、少しおかしくなっているようだ……


 おれにはそんな趣味はない。

 ふと、横を見ると杉原 楓真と目が合う……

 たまたまだろうが、目があったので、にこっと返しておく……

 お互いに引きつった笑顔になってしまった。


 そんな妙な雰囲気の中、大通りに出ると、羽の生えた奴の少し大型を見つける。

 角が生え、偉そうに教会?の オブジェの上に立っている。

 その形は、女マークなのだが、どういう由来なのだろう。


 地球では、火星(♂)をつかさどる戦の神マルスと、金星(♀)をつかさどる美の女神ビーナスだとか、錬金術の鉄と銅を示す記号だったとか?


「おい、あれがボスっぽい。まぜろ」

「さっき危険だって言ったじゃない」

「危険だが、相手は屋根の上なんだ」

 皆がそっちを見る。


 納得をした様だ。

 実に判りやすく、指示を出していた。


 だが……

「それじゃあ、一、二の」

「そら詠唱、さん、はい」

「三,二,一……」

 バラバラなかけ声が響き渡る。


 だが綺麗に混ざったようだ。

 ただ、誰がどっちを撃つのか決めていなかったから、偏りがあり、さっきよりも金色が強かった。


 ドーム型の半円が周囲に広がっていく。


「おおおおぉ」

 周囲で声が聞こえる。

 小型の奴らは崩れて消えていった。


 大型の奴は、逃げようとしたが間に合わず、でも体も崩れもせずに落下をしてくる。


 丁度教会の入り口。

 倒れている奴の体から、煙が立ちのぼっている。

「ダメージは与えられたぁ、もう一回ぃ」

 周囲に光が広がっていく。


 その光がまぶしかったのか、修道女さんかな? 教会の中から出てきた。

 倒れていた奴は、煙を激しく全身から噴き出しながら、修道さんの服を掴む。


 きっと糸が脆くなっていたんだね。

 そいつは、引っ張ったのだが、途中で糸が切れたために、ビタンと地面に叩き付けられ、それがどうも最後の足掻きとなった様だ。


 ボロボロと体が崩れて消えていった。


 修道女さんは、前身頃まえみごろというのかな、服の前だけがなくなり、非常に見頃になっていた。

 なかなか立派なお体。


「見ちゃ駄目」

 それぞれの彼女が、目隠しをしてくる。


「なんか理不尽じゃないか?」

「へーそうなんだ。裸が見えるなら誰でも良いんだ…… しょっくぅ」

 さっき兵のあれを、ガン見していた奴らが何かを言っている。

 そうそれを、理不尽という……


 まあ無理に覗こうともしないがな。

 今度、嫌がっても隅から隅までじっくり見てやる。


 だが、澪は『嫌だ見ないでよ、恥ずかしいから』そう言いながら自ら広げるのが趣味だという事を知った。

 ずぶ濡れ案件。


 人それぞれ、色々とある様だ。


 さて、簡単に倒せることが判ったので、俺達は町中を回り敵である奇妙な生き物を倒していく。


 長谷川 貴史はせがわ たかふみが剣に光を纏わせ、エクスマキナァーと叫んでいた。

 それって、十年くらい前にあったロボット映画じゃないか?

 綺麗な映像なのに、すごくモザイクがじゃまに感じた奴。


「有名な剣ならエクスカリバーじゃないのか?」

 そう言って突っ込まれたようだが……


「えっ?? そうとも言うかもな」

 貴史は自分の間違いを認めなかった。

 こういう奴いるよなぁ。



 まあ威力があるので、皆がまねをする。

 その威力は、すさまじく流石に兵達も気がつく。

「あの光る剣を持った奴ら何者だ?」

「ああ。昨日隊長が町の外で拾ってきた、正体不明の集団迷子だろ」

 戦闘をしながら、普通の剣で戦っているが、なかなかモンスターは倒れない。

 それなのに、奴らは光る剣で一刀両断。


「あの戦闘力と、剣技も独特だが、あの動き…… 鍛錬をしているぞ」

「ああ、なんだか学校の授業で、外に出たとき意識不明で連れてこられたらしい」

「それって、本当なのか??」

「さあ?」


 謎の集団の謎加減が増していく。


 俺達は調子よく倒しながら、町で起こった惨劇の跡を見ることになる。

 それも比較的弱い女性や子ども、年寄りが被害にあっている。

 部分欠損をして、魔法で焼かれたのか頭だけが焼け焦げたもの。


 そう、中東の方で起こっているならず者集団の流す映像が、ネット上でたまに話題になるが、リアルはそれに匂いなどが加わる。


 俺達の使う浄化により、それはかなりましになるが、キツい……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る