第2話 出撃待ったなしで草



 情報収集した結果、今現在俺の置かれている状況を把握できた。

 今現在隣のチェイン辺境伯領が魔族に急襲をかけられて陥落しそうになっており、チェイン辺境伯領より救援要請を送られたのをトリーナが蹴ったところのようだ。


「セキトリーナはおバカですわー!!」


「お、お嬢様!?」


 このことが周りの貴族からの信頼を失って家が没落していくきっかけとなり、後のの断罪イベントでも周りの反感を買う一番の罪状としてあげられることになると言うのに何断ってんだコイツわ!

 近くでビクビクしているメイドが言うところによるとトリーナはまだ五歳らしいが、それでもお願いされたことを断ったらダメくらいは判断できんもんかね。

 チェイン辺境伯の子──ダーリンとは婚約関係を結んでいって多少の交流はあったと思うし、仮にも仲良くしている子をそんなに簡単に見捨てられんと思うんだが。


「お嬢さま。ご要望の通り、お嬢様のお召し物を集め終わり、ここから避難する準備ができました。さあここから逃げましょう」


「逃げる? そんな指示まで……。逃げませんわ。全軍を持って救援に向かいましてよ!」


「きゅ、救援ですか。救援を申し出て拘束したバトラー様を出さないと立ち行かないのですが、どうされたらよろしいでしょうか?」


「解放ですわ! 早く解放してあげてくださいまし!」


「は、はい」


 正常な判断力を持っていた人間を拘束して動けなくすることまでしていたのか。

 とんでもないな。

 どうにもここはわがまま五歳児のトリーナが仕切っているようだが、親とかまとめ役的なポジの人間は何をしているんだろうか?

 気になってきたので真相究明をしたいところだが、今は時間がない。

 ここであれやこれやしている間に辺境伯と婚約者を見捨てて殺したという既成事実ができてしまう。

 それだけは避けたい。

 救援をモブ騎士たちに丸投げするとこの世界の巨大ロボット──ゴーレムの操縦技術があれで時間がかかるので、俺も出るしかないだろう。


「お手隙のそこのあなた! 私をおゴーレムの格納庫まで案内してくださいまし!」


    ───


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