第10話 再会の約束
戦後の祝賀会は、虎之助にとって特別な時間となった。
仲間たちとの絆が深まり、戦士としての誇りを再確認することができた。
しかし、心の奥底には千鶴との再会への思いが強く、彼女に手紙を書いたことで、その想いはさらに膨らんでいた。
数日後、清洲城では平和な日々が続いていた。信長は新たな戦略を練りながらも、戦士たちの士気を高めるための訓練を重視していた。
虎之助は、戦士としてのスキルを磨くために日々の鍛錬に励んでいたが、千鶴からの返事を待つ気持ちも忘れられなかった。
ある日、訓練の合間に、虎之助は城の庭を歩いていた。ふと、庭の隅にある小道から美しい声が聞こえてきた。
それは、花を摘む声だった。
興味を引かれ、虎之助はその方向に歩を進めた。
そこには、青い着物をまとった千鶴が花を摘んでいる姿があった。
虎之助は思わず息を呑んだ。
彼女の存在は、まるで夢の中のようで、心の中でずっと待ち望んでいた再会が実現したのだ。
「千鶴!」
虎之助が声をかけると、彼女は驚いたように振り返った。
その顔には思わず笑顔が広がり、彼の心を温かく包み込んだ。
「虎之助!本当に会えるとは思わなかった。」
千鶴は嬉しそうに駆け寄り、彼の肩に手を置いた。
二人はしばらくの間、互いに無言で見つめ合った。
その瞬間、彼らの心の中には、戦の厳しさを共に乗り越えた絆が確かに存在していた。
「手紙、読んでくれたか?」
虎之助が訊ねると、千鶴は頷き、優しく微笑んだ。
「もちろん。あなたの決意を聞いて、私も勇気をもらったわ。戦士としてのあなたの姿を見て、私ももっと頑張らなきゃと思ったの。」
二人はお互いの近況を語り合い、戦の話から日常の些細なことまで、様々なことを話し合った。
千鶴の明るい声が、虎之助の心に安らぎをもたらしていた。
「これからも、戦士として成長していくつもりだ。千鶴の期待に応えられるように。」
虎之助は真剣な表情で千鶴に告げた。
その言葉には、彼女を守りたいという強い思いが込められていた。
「私も応援しているわ。虎之助が立派な戦士になる姿を、ずっと見守りたい。」
千鶴の言葉に、虎之助は心が温まった。
彼女との再会が、自分の原動力となり、戦士としての使命を果たすための新たな決意を与えてくれるのだ。
その後、二人は一緒に城の周辺を散策し、楽しいひとときを過ごした。
千鶴は市場での出来事や旅の話を語り、虎之助も自らの戦士としての成長を語った。
彼女との時間が、戦の疲れを忘れさせてくれるようだった。
「また、必ず会おう。」
散策の終わりに、虎之助は千鶴に約束をした。
彼女もそれに応え、笑顔で頷いた。
「次は、もっと素敵な場所で会いましょう。」
そう言いながら、彼女の目には希望の光が宿っていた。
二人は心の中で、お互いの成長を誓い合い、再会を楽しみにすることにした。
平和な時間が流れ、虎之助は千鶴との再会を通じて、戦士としてだけでなく、一人の男としての成長を感じていた。
この瞬間が、彼にとって新たな力となることを確信していた。
続く
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