第3話 海上の宮殿
「宮殿といえば宮殿ですが……」
「想像の斜め上だね」
グラムダルとカノンは、俺が太平洋上に建てた宮殿の上で唖然としていた。モザイク柄の壁にし、オリエンタルな雰囲気を演出してみた。ちなみにシェラは、昨日の能力行使で疲れたのか、まだ寝ている。
「海の上の宮殿だなんてロマン溢れるだろ? 何か不満でも?」
「いえ、天離の【蔵】の技術に驚いているだけです」
「ホント。恭二、なんで正統継承者になれなかったの?」
それは優秀すぎる弟を持っているからなのだが、その話はしたくない。
「俺が真面目に家業を継ぐようなタイプに見えるか?」
俺はそんなことを言って誤魔化した。
「見えませんね」
「あー、納得。恭二、自由にやりたいタイプだもんね」
「その通り。やっぱり俺のように才ある者は、家業や家庭に縛られる器じゃないよなぁ!」
「自分で言っちゃうのね」
カノンが呆れていたが、まぁいいだろう。他人がどう評価するかなどより、自分がどう自己認識しているかの方が遥かに大切だ。
「でも、こんな目立つところに宮殿なんか浮かべて、攻撃されないの?」
「俺の四つの奥の手の一つ、【不見鏡(みずかがみ)】を使っているからな。周囲からはこの建物を認識できない」
「ホント、天離の【蔵】って何でもありね」
魔力を練り込んだ建物を錬成し、様々な地形効果を生み出す【蔵】の技術。天離家で腐らせておくにはもったいない技術だ。
俺が天下を獲った暁には、【蔵】だけでできた異能都市を造成し、異能力者のユートピアとしてやろう。
「次の標的だが、ここを狙う」
俺が地図の大まかな位置を指し示すと、皆覗き込んだ。
「ここって……」
「シェラが捕まってたとこですね」
「おはよう! 恭二きゅん! 朝からなんの話?」
シェラがいいタイミングで起きてきた。
「ヌバタマ商会。お前の古巣をぶっ潰すことにした。いいよな?」
シェラの瞳にはわずかに恐怖の色が浮かぶが、すぐに笑顔で取り繕ってみせた。
「いいよ。あんなとこ、無いほうが世のためだし」
「じゃあ決まりだな。異能力者を拐っては人身売買する連中だ。手心加えずに潰すぞ! 全ては、異能力者が堂々と生きられる自由な社会のためだ!」
俺は掌を突き上げる。
「「「了解!」」」
皆ハイタッチしてくる。
ただし、シェラの手だけは弱々しかった。
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