【第1章】完全管理社会『メトリクス』の誕生
西暦2400年
この世界では、『感情』を持つことが犯罪。それがメトリクスのルールだ。僕はただの労働者、感情を抑え込むことで「平穏」が保たれていると言われるこの社会の一員に過ぎない。
でも、僕の中に芽生えたこの違和感――これがもし『感情』だとしたら?
街は冷たい灰色のビル群に覆われ、どの建物も光を拒絶するかのように黒い窓が並んでいる。住民たちは無表情。彼らは体の半分が機械に置き換えられ、ただ効率的に働くことだけを求められている。僕もその一人だ。感情を持たないことが「正しい」とされているこの世界で。
かつてこの街には感情が溢れていたという。笑顔、涙、喜びや怒り――でも、感情は争いを呼んだ。人々は互いの失敗を攻撃し、自分を守るために他者を傷つけるようになっていった。争いが絶えず、街は廃墟と化した。
そんな中で立ち上がったのがヴァルディス。彼は「感情こそが世界を破滅に導く」と考え、感情を抑制するためにこの完全管理社会『メトリクス』を築き上げた。僕たちは体の半分を機械にされ、感情を持たないようプログラムされている。誰もが厳重に監視されているのだ。
でも、僕には分かる。この社会は平穏とは程遠い。人間らしさを失った僕たちが本当に「生きている」と言えるのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます