第12話:穴

誰かの決めた穴のカタチに嵌ることが、正しいとは、限らないよ

嵌らない穴もあれば、嵌る穴もある


そんなようなことを、さらっと夫は言った。

少し考えて、心に溶けたら、なんだか涙が出そうになった。


「あわよくば、どんな穴にも嵌るひと」になろうとしていた。

「願わくは、自分に嵌る穴」を探していたのに。


居心地の悪い穴に嵌る自分を想像して、辛くなった。

穴に嵌っても、なんだかニヤニヤしている方が、いいに決まっている。



決断の後押しと、後悔の打ち消しが上手にできる人は、素晴らしい。

 

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