第9話
ガラッ…
不意に響いた教室のドアを開く音。
ビクッとしながらそちらを見れば、可愛い女の子がいた。
あんな子、うちのクラスにいた?
…いや、いない。
誰だろうか、そう思いながら見ていれば、彼女は私の名前を口にした。
「鈴原 奈緒さん、ですよね…?」
フルネーム。
そしてこの伺うような視線には、覚えがある。
昔から、私をフルネームで呼んで話しかけてくる女の子は晴也狙いの子だ。
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