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第15話

静寂の中に響く静かな寝息。



薄暗い部屋の中で時計を見れば時刻は午前1時を指していた。



俺の腕の中で眠る小春はあどけない寝顔を晒している。



そっと抱き寄せれば、汗ばんだ小春の身体から俺の匂いが漂ってきて腰が疼いた。



白く陶器のような体に手を滑らせ、消えたことのない胸元の紅い華へ唇を寄せる。軽く吸い上げれば鮮やかさが蘇る。



「ん…」



鼻に抜けるような吐息は俺を誘惑するには十分。



「小春」



胸元から首筋へ舌を這わせゆっくり小春の上に覆いかぶさり、無防備に肌を晒す小春の胸を口に含む。



チャプチャプと水音が鳴りだせば、小春の体が反応を起こす。指で中を確認すれば先程の情事もありすでに潤っていた。



プルルル…プルルル…



「あ?」



小春の中に腰を沈めようとした最悪のタイミングで鳴る携帯。少しの苛立ちを感じながらも、小春が起きないように寝室を出た。



「誰だ」


『えっと…夜遅くにごめんね。小春の父です』


「あぁ、お久しぶりです」



電話口から聞こえてきたオドオドした声に、鼻で笑いそうになる。頼りない感じが小春にソックリだ。



そんなんだから、俺みたいなのに付け入られるんだよ。

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