普通《アナタ》


 悲鳴。悲鳴。悲鳴。悲鳴。悲鳴。悲鳴。


 嗚呼、悲鳴に満ちている。

 私は地獄に怯えている。

 けれど、アナタは天国に居る。


 同じ世界、同じ土地、

 同じ学校、同じ教室なのに。


 耳が違えば、目が違えば、心が違えば、こんなにも裏切られる。

 誰に? 誰に裏切られる?

 見えないものには、聞こえないものには断罪はおろか、裏切られることもない。


 嗚呼、私だ。

 『普通アナタ』に期待をしていた私だ。

 そう、私に裏切られたのだ。


 ねえ、アナタ。

 そこの笑っているアナタ。

 アナタの耳をちょうだい。

 アナタの音を聞いてみたいの。


 ねえ、アナタ。

 そこの笑っているアナタ。

 アナタの目をちょうだい。

 アナタの世界が見たいの。


 ねえ、アナタ。

 そこの手を繋いでいるアナタ。

 アナタの皮膚をちょうだい。

 アナタの感じてる熱が欲しいの。


 ねえ、アナタ。

 そこの手を繋いでいるアナタ。

 アナタの心をちょうだい。

 アナタの感じてる愛が欲しいの。


 ねえ、アナタ?

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