第4話 本編


「あっちゃん見て見て!!」



ミーはおもむろに俺の膝に乗って、iPhoneを開き出す。



俺はミーの肩に顎を乗せて、肩越しにその様子を見ていると写真を開こうとしているらしい。



「これ!!この前言ってた一緒に遊んだ時の!!えっちゃん!!他の子も中学一緒だった友達!!」



ミーはこういう『いつ』『誰』と『何した』っていう報告をわりとしてくれる。


俺は大体「へぇー」といって聞くだけ。



こうやって女の子の集合写真を見てると改めてミーって可愛いなって思ってしまう。


いや、彼氏の欲目で申し訳ないけど。


彼氏の欲目だけどこの中だったらミーが一番可愛い、いや彼氏の欲目ですけどね。


いや、でも可愛いよな明らかに絶対に。


あと、良い匂いするし、抱っこしてて柔らかい。


……あ、違いますセクハラじゃないです。


女の子っていうものの一般論を俺は感じてるだけで……



「あっちゃん!!聞いてる!?」


「うん聞いてる聞いてる」


「皆可愛いでしょ?」


「うん、ミーが一番可愛いよ」


「え?」


「へ?」



一瞬、お互いの時間が止まった。


ミーは完全にキョトン顔をしている。


セクハラまがいな事を考えている間にうっかり口を滑らせた。



先に反応したのは赤面しているであろう自分の方だった。



「い、いや、ミーの友達をけなしたわけじゃなくて!!俺にとってこの中でミーが一番可愛いなって感じたって話で」



言い訳どころか、より丁寧に同じことを説明しただけになってしまった。


うーわー、なにこれハズイ。



絶対、単なる彼女贔屓としか思われないよな。


うるせー彼氏バカですよ、どうせ。


もう開き直った俺の体にミーは背中を預けてもたれ、弾けるように笑った。



「もー!!あっちゃんの親バカ〜!!」



親!?


お や !?



いやいやいや!!違うから!!それは違う!!


いくら保護者的なアレコレを普段口にしてるからって、俺はミーの親になったつもりは過去1ミリもないですけど!?



「そ……それを言うなら彼氏バカ……で、お願いします」


「え?」


「彼氏なんで、一応」


「……そっか。うん、そうだね!!」



ミーは上半身をひねって俺の首に腕を回した。



急激に近付いた顔の距離に耳まで熱くなった。



ミーは「エヘヘへ」と笑った。



「ミーも彼女バカなので、あっちゃんがこの世で一番カッコ良いよ」



自分から言い出したことなのに、鏡の反射の速度並みに跳ね返ってきて羞恥に襲われる。



その言葉だけでノックダウンを喰らい、ミーを抱えたまま後ろに卒倒。


だからミーも一緒に倒れて「わわっ」と俺の上に倒れてきた。



誰がなんて言おうと、俺の彼女がこの世で一番可愛いです。


~fin~

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