今後
「それで今後の話をしてもいいですか?」
「今後の話?あ、さっき話してたやつね」
食事を終え、お風呂も済ましてお互いリラックスタイムに入った時に話を切り出した。
あ、ちなみにお風呂の時は流石に緊張しすぎて、みぃ先輩が入ってる間は家の外に避難してました。。
「そうです。分担とは言いましたけど僕の方が時間ありますし、家の内情分かってるので基本的には家事系全て僕に任せて貰えればと思います」
「そんなわけにいかないよ、お世話になってるんだから」
「逆に客人にやってもらうわけにもいきませんよ」
「んー、あ、ちなみに洗濯物は下着もやってくれるの?」
「え"…」
先輩がニヤニヤしながらこちらを見ている。やられた、完全に油断していた。
軽く咳払いしながら冷静風を装って返事をする。
「いや、下着類は自分でお願いします。他にも扱いが特殊な服とか僕には分からないので、そういうのもお願いします。」
「なーんだ。残念」
ほんとこの先輩は隙がある度にからかってくるな。
「あと好き嫌いあったら教えて貰えますか?作る時の参考にするので」
「あ!ご飯私が作るよ!逆に好み教えてくれる?」
「いや、それも申し訳ないと…」
そこまで言って少し悩む。先ほどから先輩はお世話になっている以上何かをしたいと話している。ただ、やっぱり家の細かい所を手伝ってもらうのは僕的にはあまり好ましくない。
そうすると結局お願いするとしたらここしか無いのでは?料理器具や調味料の場所を共有するくらいなら問題ない。
何より母親以外からの女性の手料理は正直惹かれる所がある。
「やっぱりお願いしてもいいですか?都合のつく時で構いませんので」
「分かった!頑張る!でもお買い物だけは暫く付き合ってもらってもいいかな?さっきも言ったけど、まだこの周辺の状況が分かってないから」
「…そうですね。分かりました」
商店街には安くて買い食い出来る所があり、うちの学園の生徒もちょくちょく来ているから正直避けたい所ではあるけど、これは仕方ないか。
「決まり!明日から一緒に買い物行こうね。授業終わりに連絡するから」
「了解です。みぃ先輩は普段まっすぐ家に帰ってるんですか?生徒会とか何か部活やってたりとかは?」
「うーん、生徒会は誘われたけど興味無いし入らなかったなぁ。部活もあんまり運動得意じゃないし、文化部も興味無かったから帰宅部なの」
「何か意外でした。それ系勝手にやってるイメージついてたので」
「あはは、よく言われるよ。でも家で過ごすゆったりとした時間が好きだからこの生活でいいかなって」
「僕も今のところは部活やる予定も無いので帰りは合わせられますね。ではそうしましょう」
「あ、毎日買い物行くようにする?それとも週に何回か買いだめする?私的には毎日行ければ毎日一緒に帰れて嬉しいんだけどな~」
またやられた。でも分かっていても被害は絶大でどうしても照れてしまう。ただここでやられるのも悔しいので何とか踏ん張らなくては。
「……そこは特売とかもあるので今後検討していきましょう」
「つまらない返しだなぁ」
「ほっといてください。あと重要な話をし忘れていました。学園の中では極力交流するのは避けた方がいいと思います」
「?何で?わざわざ避ける必要ある?」
「自分がどれだけ人気者かって自覚無いんですか?」
「人気者ってほどではないと思うけど」
「いやかなり人気ありますよ。だって新入生ですら噂になってるらしいですから」
「でもひーくん私の事知らなかったでしょ?」
痛いところをつかれた。
「いや、それは受験勉強がかなりギリギリ稀なケースだと思いますよ」
「それでも知らない人は知らないわけだよ。所詮その程度の噂でしかないよ。」
「それは…そうかもしれませんが」
「それに私は知ってる人をわざと知らないフリするのはちょっと嫌だな。私は中途半端に周りを気にしてコソコソ行動するより、そこは堂々としてた方がいいと思うよ。私のわがままでお世話になってる身なのに、それで何か言ってくる人はこっちの事を何も分かってない人だから無視して全然よし!」
そんな風に言われて、どうやってこの状況を隠すかしか悩んでいなかった自分の考えが恥ずかしくなった。
たった一年しか年齢は変わらないのに先輩の大人さに圧倒されてしまう。
「そうは言ってもこれって私の考えだからひーくんが嫌だったらもちろんそこは考慮するよ!」
「いや、確かに知り合いなのを中途半端に隠してばれる方がダメージ大きいですね。まぁ一緒に住んでるのは流石にヤバイので、そこだけは秘密を守りましょう。ただ本当に信頼出来る友達とかなら話してもいいかもですね。問題が起きた時に助けてくれるかもしれないです」
「なるほど、友達に助けてもらう発想は無かったわ。そのくらいのリスクヘッジしておくのも悪くないね。流石ひーくん!」
「ありがとうございます。細かい所はこれから過ごしながら詰めていくとして、今日はもう遅いし寝ましょうか」
「そうね、色々ありがとう。お言葉に甘えて寝ることにしましょうか、おやすみなさいひーくん」
「はい、おやすみなさいみぃ先輩」
そう言ってお互いの部屋に戻っていった。
部屋に戻ると、怒涛の一日だったせいかすぐに睡魔が襲ってきてベットに吸い込まれていった。
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