第4話





いつまでたっても進展がないまま、半年もの月日が経っていた。


いまだ流舞の居場所はつかめないままだ。


今日も佐々木と小林は流舞を探している。

聞き込みから最後の足取りを探すことまで、事細かに街を歩き回っている。



「たしかにその日、この女性がここに来たんですね?」


「えぇ。そうですそうです。

それで、香川さんの部屋だったところ見て、走って帰って行きましたよ」



香川・中森心中事件があったマンション、その管理人室で書き込みをする。

これも何度目かわからない会話だ。


管理人ももう飽き飽きという表情をしている。



「走っていったのはあっちの方角ですよね?」


「えぇ、そうですよー」


「ほかに変わったところはありませんでしたか?だれかがつけていたとか、怪しい車があったとか」


「見てないですよ…。

本当に。見えなくなるところまでその人が走っていったところまでは目で追いかけてましたけどねぇ」


「……そう、ですか…」




そうやって今日も、目立った情報もなく過ぎていく。




彼女は今、どこにいるのだろうか。

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