11-7. 対面

「何が狙いだ。お前の本当の目的はなんなんだ!?」

「私の目的は声明に挙げたとおり、『間接民主主義の撤廃』に尽きる」

「……馬鹿げている。

 いまの時代に、到底それを為すことなど出来やしない」

「どうだろうな。遅かれ早かれ『決壊』は免れそうにないがな」

「どういう意味だ??」

「『社会学』という学問がある。これは社会で起こっている事象を通して政治的欠陥を見つけるものである。具体には政治的活動を要因ファクター出力アウトプットされる『公害』、『経済貧富』、『自殺』、虐待をはじめとした『家庭問題』等の社会的弱者視点での問題を受けて、是正を促していくものである。 

 しかし最近では、それが明確に変わりつつある。

 選挙演説中に起こった前首相の暗殺。現首相が住まう官邸への襲撃に、暗殺未遂。

 これまで社会という鏡に映し出されていた問題が、『直接的』に為政者に出力、現れるようになってしまった。

 この変化はあまりにも大きい──。いまは一時的な問題程度で留まっているが、いずれ堰切ったように暴動が起こることだろう。

 すべては時間の問題。

 我々が手を出さずとも、この国は既に『詰んでいる』」

「……っ」


 たしかに近年起こった出来事を踏まえれば、じつに異常さを感じる。

 ……特に首相を狙ったケースはこれまでなかった。政治的不満が目に見える形で露呈されたのは、ある意味では既に危険域に達していると捉えていい。

 だからこそ、奴のいう言葉には確かな説得力があり、反論さえも出来なかった。

   

「その水面下では隣国による『侵略』もある。

 もし、今回のような米国からの『牽制』が無ければ、仮に同規模の蜂起が国内で起こった際、かの国は『支援』もしくは国内に住む『自国民保護』という名目のもと軍隊を派遣、ひいてはそれは常駐化され『領土一帯は掠め奪われていた』だろうな」


 あり得そうな話しでもある。

 その可能性を裏付けるように我が国への領海空侵犯は確実に回数を重ね、さらには『領域拡大』までもしていっている。

 海上に浮かぶ『親日国』を無断で包囲した強行演習を踏まえれば、近い将来にこの国においても起こり得るのは必然か。


 それを引き寄せている隷属議員の存在があまりにも大き過ぎる!!

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