第14話 話の平均化・・・

 昔、ホラー番組を見ていたら、深夜、エレベーターに乗ったら、行き先階のボタンを押しても反応せず勝手に最上階まで昇っていき、扉が開くと真っ暗な廊下に子どもの笑い声が聞こえ、奥から子供が走ってきて抱きつかれたところで気を失うという物があった。


 これを見た時、始めは「怖いな」と思ったのだが、もし自分がと考えると、相手が子供で自分が大人、しかも普通より体格がいいと思った時、笑って抱きついてくるだけなら近づいてきた時に蹴り飛ばしてしまえばいいのではないかと思った。


 そのことを家人に話してみると、「こういう話にお前みたいなのは出てこない」と言われた。


 このような話では、「話」を聞いて頭の中で映像に変換したとき、登場人物などは中肉中背の「標準的な人間」として登場するらしい。なので、都市伝説やホラーでは、体格のいい男や極端なバカなどストーリーを破壊しそうな要素は排除されるらしい。


 話が人から人へ伝わっていくたびに、平均化が起こり「標準的な人」、「標準的なもの」、「標準的な場所」になっていくのだろうと思った。

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