第5 傷

       『傷』


傷ついた時

傷つかない理想の空間を夢見て

身を委ねる


鉱物のイリデッセンス

雨の一雫ひとしずく

通り過ぎた人の残り香

それら全てが夢をもたらす


おのれだけの世界が傷を癒し

少しずつ柔らかい輝きに満たされる


遂には

宇宙の晴れ上がりのように

澄んだ心をみい出す


ビックバンほど激しくなくていい

過去を消化して宝飾にするも良し

新たな自分を生きるも良し


必要なのは

ほんのつかの間

現実を俯瞰ふかんすること


再び現実を生きるために


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