蒼の魔導書
@nasujagaimo123
第1話 運命との邂逅
アルセリア大陸の北西にある静かな村、エルン。ここには、山と森に囲まれた自然豊かな風景が広がっており、人々は豊かな自然の恵みを受けながら平和な日々を送っていた。そんな村に住む17歳の少年リュカは、幼い頃に両親を亡くし、村の鍛冶屋を営む老人ゲルトに育てられていた。リュカは村の平穏な生活に満足していたが、どこか心の奥底では自分の未来に何か特別なことが起こる予感を抱いていた。
ある日、リュカは森の奥で奇妙な気配を感じ、気づかぬうちにいつもよりも深くまで足を運んでしまう。太陽が西に沈みかけ、辺りが薄暗くなる頃、不意に視界の先に蒼く輝く古びた遺跡が現れた。その遺跡は、長い年月を経て誰の目にも触れられていなかったかのように静まり返っていたが、どこか荘厳な雰囲気を漂わせていた。
「これは……一体?」
不思議な感覚に導かれるようにリュカは遺跡の中へと足を踏み入れた。中は薄暗く、古代文字が刻まれた壁が静かに彼を見下ろしていた。足元には、かすかに光る石の階段が続いており、その先には一つの台座が置かれていた。台座の上には、分厚い蒼い表紙の古い魔導書があった。その魔導書は、まるでリュカを待っていたかのようにかすかに輝いていた。
「これが……」
リュカが恐る恐るその魔導書に手を伸ばした瞬間、強烈な光が放たれ、彼の周囲を包み込んだ。同時に、彼の頭の中に無数の声が響き渡る。昔の時代から、数え切れないほどの魔導士たちの知識と力が、一瞬にして彼の中に流れ込んできたのだ。
「お前が……選ばれし者か……」
不思議な声が響いた。声の主は、遠い昔の偉大な魔導士であり、かつて世界を統べた『蒼の魔導士』であった。
「すべての魔法を操る者……その力は祝福であると同時に、災厄でもある。お前がその力をどう使うかによって、この大陸の運命は決まるだろう。」
リュカはその言葉に困惑しながらも、遺跡から持ち帰った魔導書を手に村へと戻る。しかし、その瞬間から彼の平穏な日々は一変することとなった。翌日、村に突如として謎の集団が現れ、リュカが手に入れた魔導書を狙って襲撃してきたのだ。彼らは、東の国エリュシオンに属する魔導騎士団の一派であり、古代の遺物を回収する使命を持っていた。
リュカは戦闘の経験がなく、追い詰められていく。しかし、その時、魔導書が蒼く輝き始め、彼の体から未知の力が放出される。瞬く間に魔法のバリアが作り出され、彼を守ると同時に、敵を一掃してしまったのだ。
「これは……俺がやったのか?」
リュカは自分の手を見つめ、恐れと興奮が入り混じった感情に戸惑っていた。だが、それはほんの始まりに過ぎなかった。魔導書がもたらす力を狙う者たちが、次々と彼の元に現れることになる。
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