第62話

幸い、私の担任は無駄な話はしないから5分もせずホームルームが終わった。





私は立ち上がり鞄を肩にかけると






「珍しいね。今日は帰るんだ。」





とまたもや青山くんに話しかけられた。





「まぁ、たまには。」





と言って私は教室を後にした。






背後から

「じゃあね。」

なんて声が聞こえた気がしたけど振り返らなかった。





これがきっといつもの私。

人とは距離をとっておかないと、近くなって絶望するのはもう嫌だから。

クラスメイトなんて卒業してしまえばきっと2度と会わない。







じゃあハルはどうして?って。


きっと私の知らない私を見つけてくれるそんな存在だから。



私はハルのことをそんなに知らないし

ハルも私のことをそんなに知らないと思う。




そのくらいの距離が丁度いい。







そんなことを考えているうちに目的地に到着した。

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