第43話

コーヒーを飲み終えると




「ハル、お客さん来てるぞ。」


と下からフミトさんの声がした。







「ごめん、ちょっと行ってくるね。」



と席を立つハルに





「いいよ。私もそろそろ帰るから。」





と時計を見た。



18時30分




土曜日だから平日より早いけどそろそろお母さんから連絡が来そうな時間だ。





私は荷物をまとめて下へ降りた。







そこには、





「連絡してくれりゃいいのに。まぁ、ハルは絶対ここにいると思ったわ。」

と話すカラフルな服を着たオシャレ男子と






「久しぶりなんだからもっと嬉しそうにしてくれてもいいじゃん。」

とハルの脇腹を肘でつく金髪ショート女子がいた。


2人とも美大生らしき雰囲気を纏っている。





そんな彼らに


「お前ら連絡しなくたって会いにくるだろ。サヨは本当容赦ねぇな。いてぇよ。」



と笑うハル。









ハルって普段はそんな喋り方なんだーー









そんなハルたちを横目に



「フミトさん、ごちそうさまでした。」





とレジへ向かおうとすると








「前払いだから。気をつけてね。」



と手を振るフミトさん。







前払いってまたハルにごちそうになっちゃったな。






そう思って振り返るとハルもこっちを見て





"気をつけてね"






と何故か口パクで言うから







"ごちそうさまでした。ありがとう"




と私も口パクで返して店を出た。

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