39話 後悔までのカウントダウン2

お互いの拳がぶつかりあい…この路地裏全体に途轍もない衝撃が一瞬の内に広がった。


次の瞬間、俺は突き出していた右拳とは逆の

左拳で天使の鳩尾に強烈な一撃をお見舞いした

…だが、それをものともせずに天使は俺の左腕

を掴み…俺を宙に投げ飛ばした。



俺が宙に投げ飛ばされて体制を整える一瞬の隙に天使は萌乃のいる場所に駆け抜けて、天使の

一撃が萌乃を襲う…瞬間、俺は命令を下した。




「跪け…!」


その言葉が俺の口から言い放たれた瞬間、

萌乃の目の前にまで迫っていた天使は地面に

叩き付けられた。



「ッ…。」



天使が地面に叩き付けられた一瞬の隙を見逃す訳もなく…俺は空中で体制を整えて…天使の元まで一瞬で移動した。


そして、地面に叩き付けられている天使の頭を掴み…持ち上げ俺の全力で宙に投げ飛ばした。


投げ飛ばして瞬きをする暇も与えず、俺も跳躍

して、空中で体制を整えている天使を更に上空から下に殴り飛ばした。



そんな、下に超高速で落下する天使を俺は、

天使が落下するスピードより早く着地して…、

落下してくる天使の腹を下から貫いた。




「…終わりだ。」


俺がそう言い放つと…天使の体は徐々に灰と

化していった…。



今まで天使との戦いの後、意識を失っていた

から知らなかったが…天使は死ぬと灰に

なるのか…。だから今まで天使の死体を

見なかったし…滅悪教に見つからなかった…。


そう思考している内に天使の体は完全に灰と

化していた。




_______。


……業魔が強いのは分かってたつもりだった。

私の攻撃を全部簡単に避けてたし…、それでも

ここまで強いなんて……!この実力なら本当に

天使との戦争に勝てるのかもしれない…自分で

そう言えるだけの実力が業魔にはあるんだ…!



そんな思考をしていると…業魔が喋り始めた。




「萌乃…ここ離れるぞ。見つかったら面倒だからな…。俺の仲間と合流もしたいしな。」


「そ、そうだね…!早く行こっか!」




………倒したと、認識してしまった…こその。


【油断】


俺は今まで天使を倒した後を見た事が無かったのに…決め付けていた。そんな慢心から生まれ

……今、俺はまだ甘いとそう認識されられた。


【油断】




刹那…、背後から途轍もない殺気を感じて

振り向いた俺の目に今この瞬間に倒した筈の

天使がつるぎを持って突撃を

仕掛けてきていた。


…俺が狙われていたのならまだよかった。

だけど…狙われていたのは俺ではなくて…。



【萌乃だった。】



…目の前の天使が持っている剣からは。


斬られてはいけない。刺されたらいけない。

触れたらいけない…。


そう感じていたが俺は……。




_______。


…一瞬だった。何が何だか分からなかった…、でも確実に言えるのは…私は庇われた。

ただ一つの事実だけだった。



私は業魔に庇われていて…そして。

私を庇った業魔は…。


左目を斬り裂かれていた。




_______。


「……狙いとは違うがサタンの器、貴様の左目を奪えたのは、いい収穫だ。」


そんな言葉を淡々と目の前の天使は言ってきやがる…、そんな天使に俺は。



「この程度すぐに治る。収穫にはさせねぇ。」


天使はそんな俺の言葉を嘲りながらその衝撃的な一言を口にした。



「その傷は治らない…絶対だ。」




…ハッタリだ、嘘に決まっている。絶対な筈が

ない…。治るに決まってる…。


そんな思考を遮るように…目の前の天使は淡々と語った。



「天使が悪魔を倒す為だけに造られた武器が

存在している。その名は神器じんぎ、その神器一つ一つに違う特性はあるが共通しているものがある。それは我らが神が造った武器だという事…そして、悪魔に対する特攻なる性能を兼ね備えている事だ。」


と…。



特攻だと…?だから俺の傷は治らない?


そんな思考をしていた時…久しぶりにサタンが

口を開いた。




(其奴の言っていることは全て本当の事だ。)


(…じゃあ本当にこの傷は治らないのか?)


(治らない…。いや治せない…。)


(どういう意味だよ…。)


(神器によって付けられた傷を唯一治せる事が出来る奴がいる。)


(そいつは誰だ…!教えろサタン!)




そんな俺の心からの叫びを踏み躙るような言葉がサタンの口から言い放たれた。



(治療の天使…ラファエルだ…。)



(煽られた気分だ…クソが。)









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