第2話 死に戻りを手にしいざ現世へ!

俺は思わず溜息をつき、目の前の神に尋ねた。どうやらこの状況は単なる悪夢ではなく、現実のようだ。だが、その神はキラッと歯を光らせ、まるで嬉しそうに見えた。どうやら、俺がやる気を見せたことが嬉しいらしい。


「ボーイ……ついにやる気になってくれたんだね……!」


神が微笑むのを見て、少しイラッとした。俺は別にやる気になったわけではない。そんなことよりも、この状況からどうにか抜け出したいのだ。


「やる気になったっていうか、やる気がなくてもやらせるんだろ?」


俺は不機嫌そうに言い返した。神は一瞬目を逸らし、軽く肩をすくめた。どうやら、俺の言葉が図星だったようだ。


「ボーイ、君にしかできないことなのデース!」


だがその言葉を聞いても俺の気分は晴れなかった。


「天使からの信用無くして他の神からも見捨てられてるから俺に頼ったんじゃなくて……?」


俺は疑念を隠さずに言った。


「…………」


神は何も答えない。いや、答えられないのだろう。だから俺はさらに言葉を続ける。


「そもそもさ、あんたが浮気したのが原因だろ?」


「…………」


再び沈黙が訪れた。神は少ししょぼくれた様子で、ようやく口を開いた。


「sorry ボーイ……」


その一言が、俺の心にわずかな同情を呼び起こす。しかし、今さら謝られても仕方ない。


「もういいよ……」


俺は諦めることにした。どうせ、もう起きてしまったことだし、逃げられないならやるしかない。


「とりあえず、ボーイにはこの後すぐ現世に戻ってもらうデース!でも、このまま返しても多分BAD ENDしか迎えないので、このGODである私がボーイに素晴らしいギフトを授けまーす!」


神は指をパチンと鳴らし、まるでチート能力を授けるような口ぶりだ。


「YES!ボーイには【死に戻り】のギフトをプレゼントしまーす!!」


「死に戻り?」


俺は眉をひそめた。まさか、と思ったが、予想通りだった。


「死に戻りって、要するに死ぬたびにひどい目に合うやつだよな?」


「ギクゥ……」


神は隠す気もないようだった。それくらいの能力がなければ、何度でもやり直せるわけがない。


「まあ、仕方ねえか……でも、これがあるならトライ&エラーでなんとかなるだろ」


俺は腹をくくることにした。


「YES!失敗は成功のもとデース!」


神の言葉は、どこか腹立たしかったが、能力自体は悪くない。むしろ、かなり使えるだろう。


「この能力、どういう感じで発動すんの?」


「デッドしたら、ボーイはその日の朝に戻って、記憶もインストールされるデース!」


「そっか、なるほど。意外と普通の仕組みで助かったわ。あんたの事だから一癖ありそうだったし」


「それは心外デース……」


神は少ししょぼくれている。その様子を見て、俺は微かに同情を感じる。


「じゃあ、そろそろ現世に戻らせてくれ。ラノベも読みたいし」


「OK、ボーイ、ルールは覚えてますね?」


「ああ、なんとかするさ」


「それでは、ボーイ!ファイトデース!!」神の掛け声とともに、俺の体が不思議な渦に巻き込まれていく。何が起きるのか分からないが、もう逃げられない。


◇◇◇◇◇◇


「oh……大事なことを言い忘れました……まあ、また会えるし、その時でいいデース……」


◇◇◇◇◇◇


何か重大なことを忘れている気がするが、今はそれを考える余裕はなかった。俺は新たな運命の扉を開けるために、目を閉じた。

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