ハエを叩いたらステータスを獲得した件

消灯

プロローグ

プロローグ~ハエの叩きを添えて~

 俺は握屋 結生(あくや ゆいせい)、世界の中心だ。


 世界は俺を中心に回っている。


 さて、そんな素晴らしい俺なのだが、今、とても困っている。



 というのも、家にハエがわいたのだ。

 幸い一匹だが、驚くべきことに、なんとうちにはハエ叩きがない。


 そこで、ティッシュで立ち向かっている。

 こんな逆境でこそ、俺の素晴らしさが引き立つと言うものだ。



 「……」



 そ~っと近付き。



 「……」



 スタンバイ。



 「……」



 いいか、3、2、1で突入だ。

 いいな?


───1、2、3、行け!



 「きぇぇぇぇぇぇぇええぇええええ!!!」


ーバシッ



 ひっくり返す。

 どうだ?



 結果は───





 「よっしゃああぁぁぁぁああああああああああ!!!!」



 やった!

 ついにやったぞっ!



『人類で始めて魔物を討伐しました。

ステータスを獲得しました。

称号 : 先駆者を獲得しました』


 おん?


『七つの大罪 : 暴食のベルゼブブの討伐を確認。討伐者に報酬があります』


『レベルアップ』

『レベルアップ』

………


『人類初のレベルアップを確認。

称号 : 先駆者を獲得しました』


『エラーが起きました。称号の重複は不可。  よって統合されます』


『称号 : 先駆者ex を獲得しました』


『'蘇った大悪魔'討伐を確認。神が称賛しました。

称号 : 大英雄を獲得しました』


『レベルが最大まで上昇しました。進化先を指定してください』


『ジョブの選択ができます。ジョブを選択してください』


<'暴食'所持者が殺され、所有権が殺害者に引き継がれます>



 「うお、一気に来たな。なんだこれ?」



 まあ、試してやらんこともない。



 「ステー、タスッッ!!!」



──────────────────────

 握屋 結生

 種族 : 人間*

 レベル : 99+


 ジョブ : 未定


str   111

vit 111

mgd  111

int   111

agi  111

dex  111

luck  99999999999999999999999999999999


スキル▼

 {ビンタ(神速)LV.max} {保護術LV.max}

 {ティッシュ流格闘術LV.max}

 

固有スキル▼

 {暴食}


称号▼

 先駆者ex 大英雄 暴食 ビンタを極めし者

 幸運の女神に愛されし者

──────────────────────



 なんだこれ、九千穣? 10²⁸の十倍?

 おい、一人小学生みたいなやついるぞ。


 ていうか神速のビンタとか舐めてんだろ。

 あれは完全に手刀だった。


 ティッシュ流格闘技と言うのもまたふざけているな?

 けしからん。



 しかし、111というのが人間の最高ステータスなのか?

 いや、俺がそうだからそうに決まっているか。


 進化はどうやるんだ。


 それかまずはジョブか?


 順番にやるか。


 スキルの詳細の確認は……こうか。


──────────────────────

 •スキル

ビンタ(神速)

 ビンタの動作中agiが10×レベル(maxは100)

 ビンタの命中が量子力学的に引き寄せられる

 ビンタ中の手は無敵状態を得る

 ビンタのフォームが美しくなる

 ビンタの威力が壊滅的に強くなる


保護術

 なにかを保護するためのあらゆることに補正


ティッシュ流格闘技

 ティッシュを使った格闘技にプラス補正


 •固有スキル

暴食

 自分で殺した生物を食べることで、スキル、生物としての特性、ステータスをランダムで得る

 ただし、固有スキルは奪うために条件を満たす必要がある

──────────────────────


 なるほど、俺はビンタの天才でもあったのか。


──────────────────────

•称号

  先駆者ex

 人類の一歩先にいる人類

 未知のものとの遭遇率が100倍


  大英雄

 人類柄と相対的に見て英雄的行動をした者

 職業 : 勇者、大英雄、英雄 を選択可能にする


  暴食

 七つの大罪暴食を持つ者

 生物の敵

 職業 : 大罪人 を選択可能にする


  ビンタを極めし者

 存在する全てを凌駕したビンタ力を誇る者


  幸運の女神に愛されし者

 幸運の女神に愛されているとしか思えない運のよさを持つ者

 luckに超補正

──────────────────────



 確かに、俺が俺であることはこの上ない幸運といえる。


 次は種族だな。

 人間の横の*を押す。


──────────────────────

◇進化先

上位人間ハイ•ヒューマン     •罪人カース•マン

勇人ブレイブ•マン       •魔人

──────────────────────

 これだけか?

──────────────────────

•純人

 人間の欠陥を改善した

 進化先 : 多


•罪人

 大罪系スキルの効果が上がる

 進化先 : 少


•勇人

 英雄たちの種族

 進化先 : 中


•魔人

 魔の因子を持つ

 進化先 : 超多

──────────────────────



 断然魔人だな。



 「ポチっとな」



 試しに押してみる。


 もう押しちゃうの、だと?

 大丈夫だ、そんなすぐになにかが起こるわけ──



『これより進化をはじめます。

対象は一時的に無防備になります

進化 : 魔人 をロード………』



 最後に、そんな声が聴こえた気がした。



♤♤



 「……ぅ」



 首が痛い。

 くそ、寝違えたか?



 「ん?」



 いや、違う、枕が高いだけだ。

 枕にしていた広辞苑(二つ)から起き上がる。



 そういえば進化はどうなった?

 もうしちゃったか?

 まさか夢落ちじゃないよな?



 「ステー、タスッッ!!!」



──────────────────────

 握屋 結生

 種族 : 魔人

 レベル : 99+


 ジョブ : 未定


str   319

vit 319

mgd  319

int  319

agi  319

dex  222

luck  99999999999999999999999999999999


スキル▼

 {ビンタ(神速)LV.max} {保護術LV.max}

 {ティッシュ流格闘術LV.max}

 {魔力回復LV.1} {回復LV.1}


固有スキル▼

 {暴食}


称号▼

 先駆者ex+ 大英雄 暴食 ビンタを極めし者 幸運の女神に愛されし者

──────────────────────


 魔人で決定されてしまったようだ。

 別にいいが。


 回復系が追加されて、ステータスが上がったのか?


 ステータスは引き継ぎだと考えると、魔人はdexの延びが悪く、他は人間の倍ということになるが、どうなんだろうか。



 ……待て、先駆者ex+だと?

 +?


 またか?

 初進化とかか。


 効果は。


──────────────────────

 先駆者ex+

人類の数歩先にいる人類

未知のものとの遭遇率100倍

未知のものに対する理解に補正

─────────────────────


 まあまあだな。



 さて、また進化ができるみたいじゃないか?


──────────────────────

◇進化先

・半魔       •不死者アンデッド(ランダム)

半悪魔ハーフデビル      •魔物(ランダム)

下級魔族レッサー•デーモン(ランダム)

──────────────────────


 ほう?


──────────────────────

•半魔

 魔になりかけた者

 自我は残らない

 進化先 : 単


•不死者

 ゾンビかスケルトンかにランダムでなる

 自我か残るかは運次第

 進化先 : 超多


•半悪魔

 悪魔になりかけの人

 進化先 : 中


•魔物

 人ではなくなる

 進化先 : 超多


•下級魔族

 下級の魔族

 容姿、能力はランダムだが自我は確定で残る

 進化先 : 多

──────────────────────



 これは……不死者しかないな。



 「ポチっとな」



 ゾンビにしてくれよ?



『これより進化をはじめます。

対象は一時的に無防備になります

進化 : 不死者 をロード………』




 最後に、そんな声が聴こえた気がした。




♤♤




 「……ぅ」



 痛い……。



 「またお前か!」



 俺は、広辞苑(二つ)を蹴り飛ばす。


 俺の首が曲がる……。



 あ、そうだった。



 「status」



 ──────────────────────

 握屋 結生

 種族 : ゾンビ*

 レベル : 20+


 ジョブ : 未定


str   21

vit 21

mgd  21

mga  21

agi  21

dex  21

luck  99999999999999999999999999999999


スキル▼

 {ビンタ(神速)LV.max} {保護術LV.max}

 {ティッシュ流格闘術LV.max}

 {超回復} {魔力回復}

 

固有スキル▼

 {暴食}


称号▼

 先駆者ex+ 大英雄 暴食 ビンタを極めし者

 幸運の女神に愛されし者

──────────────────────



 デジャヴ。


 また進化できるのか!



 フィードバックは進化し終わってからだな。



 俺はゆういつの進化先を選ぶ。




『これより進化をはじめます。

対象は一時的に無防備になります

進化 : 屍鬼をロード………』



 最後に(ry




♤♤




 結局、合計七回進化した。


 人間→魔人→ゾンビ→屍鬼→食屍鬼グール→ダークグール→丿守護者ーカー吸血鬼ヴァンパイア


 という内訳だ。



 なぜかその都度頭に広辞苑が来て、いい加減首が痛い。


 luck仕事しろよ。

 サボんなって。



 まあいい。

 では、ステータスの確認と行くか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る