第12話 気持ちを切り替え、未来へ
あの衝撃的な事件から間もなく、レイモンドの裁判が開かれた。
彼が犯罪者を雇い、貴族への襲撃を企てたという重大な罪状が明らかになり、死刑判決が下されたのだ。
裁判の場でレイモンドは、最後まで自分は悪くないと主張したそうだ。全ては、私が婚約を破棄したことが原因だと。ブラックウェル家が支援を取りやめたことが問題であり、そのせいで追い詰められて愚かな行動に走ってしまったのだと訴えた。
しかし、判事は彼の言い分を一蹴したと聞く。
「婚約破棄は、あなたの不誠実な行動が原因です。そして、犯罪者を雇い貴族を襲撃するなんて、どんな理由があっても許されません」
判事の言葉は、法廷に重々しく響き渡ったという。
死刑判決が下された瞬間、レイモンドの顔から血の気が引いたと言っていた。彼は自分の行動の重大さを、ようやく理解したのでしょう。しかし、もはや後の祭りだ。
彼の犯した罪の代償は、彼一人の命だけでは済まされない。ラザフォード家も、この事件の責任を問われ、取り潰しとなったらしい。ラザフォード家の歴史に、汚点を残す形で幕を閉じたのだ。
まさか、こんな形で終わるとは思ってもみなかった。今となっては、早めに解決して、本当に良かったと心から思う。
もし、あの時、彼と結ばれていたら。私は、どんな人生を歩んでいたのだろうか。
きっと、彼の不誠実な行動に苦しめられ、不幸な日々を送っていたに違いないわ。あるいは、彼に巻き込まれて、今回のような事件に関わることになっていたかもしれない。
婚約を破棄する。そんな運命の分かれ道で、正しい選択ができたことは私にとって幸運だった。レイモンドとの一件は、私の人生において大きな転機となった。
そして今、私は新たな人生を歩み始めようとしている。未来に目を向ける時が来たのだ。
良縁に恵まれ、新しいパートナーが決まった。彼は紳士で優しく、私を大切にしてくれる。お互いを尊重し合える、理想的な関係だ。
これから先の人生を、彼と共に歩んでいけることを、心から嬉しく思う。
夫婦として、貴族としての責務を果たしながら、人生という長い道のりを彼と一緒に進んでいく。そんな充実した未来を、今は心に描いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます