25.悪役を演じて一流熱血漢暑苦しい素顔憎めない

 劇団出身の先輩に、主役もやるし悪役憎まれ役もやるし、現代劇も時代劇もなんでもこいという、いまも現役で活躍されている大物俳優さんがいらっしゃいます。

 わたしが研究生になったころにはとっくに退団されていたんですが、ある年の周年記念の舞台にゲスト出演してくださることになりまして。


 それは本劇団、若手劇団は総出演。研究生はバックコーラスやバックダンサーとして参加。それにくわえてメインキャストとしてゲスト俳優(元劇団員)複数名も出演というものすごく大がかりな公演でした。


 当時すでに研究生を卒業していたわたしは若手劇団の準劇団員という立場で出演しました(ちなみにのどを潰したのはこのとき)。

 おなじ舞台に立つので、当然ゲスト俳優陣と稽古を一緒することもあったわけです。そしてわたしの同期に、ものすごーくダンスが苦手な男子がおりました。身体もかたいしリズム感もないしでいつも振りつけをおぼえるのにも非常に苦労してたんですね。

 そんな彼を熱く励ます人が。

 ええ。その先輩大物俳優さんです。自分も身体がかたいし、ダンスはブランクもあって苦労してるから一緒にがんばろうと。


 いやほんと、この方めちゃくちゃ熱くてね。しかもまわりを巻きこむパワーがすごいのなんの。

 しかしながら、オーラがすごいとかそういうのはまったくなくて、ふだんはとても気さくでフランクなただのおじさんなんですよね。ただとんでもなく熱血なだけで。笑


 人懐っこくて、わたしらみたいな下っ端にも敬意をもって接してくれていたこともまた、熱血ぶりとあわせて深く印象に残ってます。


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