第2話

「……」

「どした?」


久しぶりに麗華とご飯に来ていた。


「…ねぇ。お店、変えない?」

「うるさいの?」

「…うん。」


席に着いたのに周りの音に耐えられなくて、麗華の手を引いて外に出た。


街のガヤガヤした音がうるさくて、軒下のきしたで麗華の両手を借りて自身の両耳を閉じた。


「……」

「いいよ。なんか買って家で食べよ。」


「…ごめん。」



―――――――――――――――。


疲れが溜まると耳が敏感になる。

耐えられなくなる。



「麗、ごめん」

「いいよ。わかってるから。ほら、食べよ?」

「うん。」



――――――――その後、彼女が食器を洗ってる隙にベランダへ出ると、彼女も静かに着いてきて無言で後ろから僕を抱きしめて


「大丈夫だから。」と一言言ってくれた。


直後僕は彼女にキスした。


「……」

「……」


「変な事考えないでよ」

「…。」


「あんたがそうするならあたしも一緒。」

「どこまでも着いてくる?」

「当たり前でしょ。…前はね、『勝手にどうぞ?』って思ってたけど今は違う。私も着いてく。」


「…」

「安心して?あたしはどこまでも一緒。」


僕はまた彼女に包まれた…。

静かな夜。静かな場所。静かな人と共に、

静かに生きていた。

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