第61話 高級感

~富沢家~


一同「お邪魔しまーす」


富沢「おう、くつろいでってな。自分ちみたいな気持ちで」


川岸「あ、そこは『邪魔するんやったら帰ってや』じゃないんだな」


富沢「そんなベッタベタなこと言わへんわ。関西人やあらへんし」


佐藤「お金持ちってもっと豪邸に住んでるんだと思ってました。普通なんですね」


姫路「こら。そう思っても言わないの!」


富沢「ええって。変な先入観も面白いもんや。はい、コーヒーどうぞ」


佐藤「ありがとうございます」


姫路「いただきます。ところで、『変な先入観も面白い』ってどういうこと?」


富沢「おお、興味あるか? せやな……そのコーヒー、美味いか?」


姫路「うーん。独特な香りだけど、まあ、美味しいわよ」


富沢「せやろ。一杯で千円もする高級品やからな。味わって飲んでな」


姫路「え? そうなの!? 特別美味しいわ。びっくりするほど美味しい」


富沢「うんうん。猫のウンコから取ったコーヒーは美味いか」


姫路「え?」


富沢「コピルアクっちゅーてな。猫にコーヒー豆を食わせて、その糞から取るコーヒーがあんねん。金持ちの考えることはよく分からんけど、気に入ってもらえて嬉しいで」


姫路「おげぇぇええええ」


富沢「これが先入観や。おもろいやろ?」


川岸「それ姫路が面白い人ってだけじゃないのか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る