第45話 キャバ嬢

~夜の街~


客引「ちょっと、社長。飲んでいきませんか? いい子いますよ」


富沢「おお、そりゃええな。……で、若い子はおるんか?」


客引「ちょうど新人がいますよ。フレッシュな22歳」


富沢「ええやんけ。よっしゃ! 早よ案内せんかい」


客引「一名様ご案内。新人のほなみちゃんつけてあげて!」


店員「ほなみちゃん! ご指名だよー」


姫路「ほなみです。よろしくお願いします、お客さ……」


富沢「……」


姫路「……」


富沢「……せやな。席に行こか」


姫路「ご、ご案内します」


富沢「初めまして。富沢や」


姫路「ひ……ほなみ、です。22歳です」


富沢「10歳はサバ読みすぎやろ。で、何飲む? いつも通りビールでええか?」


姫路「アタシ、あまーいカクテルが飲みたいなぁ」


富沢「普段は聞いたこと無い注文やな。……お、フルーツ盛りもあるやん」


姫路「あ、アタシ、フルーツ大好き」


富沢「お前、前に『そんなのつまみに飲むのはキャバ嬢だけ』って言っとらんかった?」


姫路「正真正銘キャバ嬢よ」


富沢「おっと、すまん。そうやったな」


姫路「ええっと……富沢さんは、こういうお店よく来るんですか?」


富沢「たまに来る程度や」


姫路「お休みの日って、何してるんですか?」


富沢「お前とサイクリングやな」


姫路「あはは……お、面白い人ですね」


富沢「なあ、姫路……やない。美和子?」


ほなみこと姫路美和子「ほなみです。ほ、な、み!」


富沢「べっぴんさんやな。そのドレスも素敵や。空力抵抗が少なそうやな」


姫路「そんな褒め方する客いないでしょ」


富沢「綺麗な脚しとるわ。何か運動してんの?」


姫路「サイクリングよ。知ってるでしょ!」


富沢「川岸と佐藤にも声かけたらよかったな。失敗したで」


姫路「やめて。絶対やめて。できれば富沢さんも帰って。今すぐ」


富沢「ところでこの後、アフターええか? 二人でサイクリングしようや」


姫路「アンタ、どんだけメンタル強いのよ」

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