第38話 金は要らん

~道の駅~


佐藤「俺ら結構走ってますけど、これ給料にならないんですよね」


姫路「確かに、自転車に乗った分がお金になったら素敵よね」


佐藤「フードデリバリーとか始めてみますか?」


川岸「やめとけ。俺も昔やってたけど、今ほとんど金にならない。何かトラブったら赤字だ」


佐藤「やっぱりダメかぁ……」


富沢「お前ら、趣味と金儲けは別にした方がええで」


佐藤「富沢さんはお金持ちだから、俺たちの気持ちが分からないんですよ」


富沢「……そういや、こないだネット小説読んでたら、自転車の話ばっか書いてるやつがいてな」


佐藤「な、何ですか? 急に」


姫路「富沢さん、ネット小説とか読むんだ?」


富沢「おう。で、その作者に投げ銭したろ思ってプロフ見たら『金は要らん。投げ銭する金があんなら、それでサイクリング行って美味いもん食うて来い』って書いてあってな」


佐藤「富沢さんみたいな金持ちなんですかね」


富沢「いや、あれは貧乏人くさいわ。そんでも、何か譲れない信念みたいなもんがあるんやろうな」


佐藤「信念……」


富沢「俺もそうや。金持ちとか貧乏とかやなくて、自転車で金を稼ぎたくない」


佐藤「なんか、カッコいいですね。その作者」


富沢「まあ、その作者さん。SNSでは税金と安月給に文句つけて、政治家と職場に恨み言ばっか言うとったけどな」


川岸「あ、それはそれなのか」


姫路「台無しね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る