35話 いざ転生人街へ

 無事に許可証を取得したあと、城を出てレベッカと一緒に街を散策していた。散策というよりかは、案内に近いか。ちなみにシェリーさんは仕事のため、今は居ない。城で汗水を垂らしつつ職務に勤しんでいる事だろう。


 「そういえばあの馬は?」

 「小屋に戻しておくよう部下に伝えておきました」


 レベッカは単体だけでも十分美しいが、あの馬もセットだとさらに美が引き立たされる。

 雑談を交わしながら、色々な所を回った。病院、警察署、学校、有名な飲食店などだ。

 そして最後に、帝都の最東端にある街へ足を運んだ。ここには、お目当ての転生人が多く住んでいるのだ。


 「驚くと思いますよ」

 「ああ、もちろん驚くさ」


 街へ続く門扉のゲートを開き、向こうの世界へ突入した。

 帝都の街並みは中世のヨーロッパ風で儚い雰囲気を醸し出していたが、転生人街はヨーロッパはもちろんの事、アジアやアメリカの文化が混ざった個性的な風貌だ。歩く人々も多種多様で、白人や黒人も居れば、黄色人種も確認できる。


 「今でこそ慣れましたが、最初は驚きましたね」

 「俺もだよ」


 周囲を見渡しながら歩いていると、レベッカが足を止めた。


 「この建物を見てください」


 言われた方向を見れば、木造の大きな建築物があった。多くの人達が出入りしている。


 「こちらは転生人専用の公民館で、常に大量の人が居ます。まずは挨拶をしましょう」


 彼女の言う通り挨拶は大切だ。日頃からコミュニケーションを継続していれば、何かあった時に誰かしら助けてくれる。

 公民館へ歩き出すがレベッカは止まったままだ。


 「おい、来てくれよ」

 「そうしたい気持ちは山々ですが、今さっき言ったようにここは転生人専用の施設なので、部外者が入るのはよくありません」

 「そうか、じゃあ行って来るよ」


 アイツが居ないのは少し不安だし、寂しいが、規則でそう定められている以上1人で向かうしかない。

 公民館の中も帝都の市街地のように非常に明るい空間が築かれていた。

 大きくて丸いテーブルがいくつも置かれており、そこで自分と同じ転生人が仲良く談笑していた。奥の方にはビリヤードや射的などの娯楽設備も完備されていて、人種年齢性別関係なく和気あいあいと遊びを楽しんでいる。

 手前のテーブルに空席があったので、そこに座った。椅子は4つあり、2つの椅子に飛行服を着た中年の男性が座っていた。


 「初めまして、転生人のセルゲイ・イヴァーノヴィチ・ベレンコです」

 「スラブ系か? こっちはダグラス・ニミッツだよ」


 サングラスを掛けた男はそう名乗り、


 「俺はラファイエット・カービィ。銃手なら任せな」


 腕にタトゥーを施した男は軽快にそう名乗った。

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