第37話

「……なるほど。じゃあ涼さんが守ってくれていたんですね」


漸く緩み始めた顔で翔が言う。



「そんな大したもんじゃねえよ。



俺は瀬南を逃がすことも、一緒にいてやることも



できなかった。こうなったのは俺のせいだ」



……本当に自分の無能さに呆れる。



「…瀬南ちゃんにとっては、そんなことなかったと


思いますよ」



「あるんだよ。だから忘れられちまった」

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