『当初の予定通り、プランDを実行する』


 風見が歯切れ良くそういったのを、安村は肩で笑った。


「これで奴らは、そこの拠点も引き払うことになるだろうよ。金のないAT得意のローコスト・ハイリターンの作戦でな」

『それを言うなよ』

 電話越しに風見も、ため息交じりに笑った。


 電話が切れると、安村はジッポライターに火をつけ、煙草の一口目を美味そうに吸った。

 半分まで吸ったあと、安村は片側二車線の道路を横切った。

 まもなくやって来た車の群れの中に流しのタクシーを見つけ、ゆっくりと手を上げた。

 乗り込むなり、安村は運転手に声を掛けた。


「オレがいうまで、そのまま街道をまっすぐ走ってくれ」


 運転手は余計な口も聞かず、前を向くとギアを入れた。

 タクシーはハザードランプを消してウインカーを出し、滑るようにして、再び車の流れに入っていった。

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