第59話

朝、いつもの時間に登校したら、珍しく依里ちゃんがまだ来てなかった。





どうしたのかな、と思ってメールしようとスマホを取り出そうとした時。






「ちょっとアンタ、顔貸しな。」






突然後ろからそう言われびっくりするのも束の間、派手な見た目をした3人の女の人達のうちの1人に強引に腕を捕まれ、有無を言わさず校舎裏に連れて来られたのだ。






そして着くや否や、「何様のつもり?」と訳が分からない事を言われ、反論する暇もなく突き飛ばされた私。






『ど、どういう意味でしょうか…?』






心做しかジンジン痛む背中をそのままに、そう問い掛ける。







「はぁ?そのままの意味よ。昨日アンタ、”旧校舎”に連れて行かれたんですって?」





『連れて行かれましたけど…、』





「アンタが、ずっと探されてた”ココ”って女なんでしょ?」






…さっきから、この人が言いたい事がいまいち分からない。





何でそんな事を聞いてくるんだろう?






でもここで、はいそうです、なんて言える雰囲気でもない。






『いえ…、人違い…だったみたいです。』






そう否定したけど、その瞬間女の人の目がカッと見開いたのが分かった。






「人違いな訳ないでしょ!?だったら何で一昨日まであんだけ”探せ”って言ってた牧谷さんが昨日になってそれを取り消してんのよ!アンタが昨日旧校舎に行ったからでしょ!?」






物凄い剣幕でそう詰め寄ってくる女の人に思わず後ずさるが、再び背中が壁に当たり、逃げ場がなかった。

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