第077話 ほうほう


 サラさんから聖都の歴史を聞いていると、あっという間に昼前になった。


「サラさん、俺達は午後から用事がありますのでまたの機会にお話を聞かせてもらえたらと思います」

「ええ。いつでもどうぞ。話をするのも仕事ですので……なのにまったく話をする機会がないので嬉しいです」


 悲しいなー。


「でしたら来週はちょっと用事がありますんで再来週くらいにまたお話を聞けますか?」

「再来週ですか……」


 ん?


「何か用事でもあるんですか? こちらは別にその翌週でもいいですし、いつでも大丈夫です」

「用事といえば、用事ですね……あのー、せっかくですし、火山の近くまで行きませんか?」


 火山?


「修験道ですっけ?」


 確か神殿の裏から行けるはずだ。


「ええ。再来週は火山近くになる祭壇でお祈りがあるんです。もし、よろしければ一緒に行きませんか? ハルト様達は冒険者でいらっしゃるでしょう? 護衛として雇いますのでご案内しましょう」


 護衛か。

 金が出るんだろうか?

 だったら金が出るガイド付きの観光になる。


「よろしいのですか?」

「ええ。ワイバーンでも狩ってください。それでマグマ亭に行きましょう」

「それじゃ。我は良いと思うな」


 サクヤ様は賛成のようだ。


「ジュリアさん、どうする?」

「良いと思いますよ。せっかくですし、お話を聞きながら観光できます。それにお力になれることならやりましょう」


 この子は本当に良い子だな。


「じゃあ、そうしよっか。サラさん、再来週に来ますね」

「ええ。他の同行者として、ワイバーン狩りのプロフェッショナルにも声をかけておきます」


 それって、あのマッチョマンでは?


「わかりました。では、よろしくお願いします」

「はい。こちらこそ」


 サラさんが笑顔で頷いたのでこの場をあとにし、別荘に戻る。

 そして、家に転移すると、ノルン様がやっぱりゲームをしていた。


「ノルン様、タマヒメ様は?」

「タマちゃんなら昨日で帰りましたよ。寝るそうです」


 いや、寝てなかったのか……


「あのー、火の国にある火山っていつ噴火するんです?」

「285年と124日後ですね」


 あ、やっぱり教えてくれた。


「先ですね」

「そうですね。まあ、あなた方は気にしなくていいでしょう。どうせ全員、死んでます」


 そうなんだけどね……

 言い方よ。


 その後、サクヤ様がジュリアさんを送っていき、この日は解散となった。

 俺は家のことをやりながら過ごしていき、夕方にはノルン様もどこかに帰っていった。

 夜も家で過ごし、9時を過ぎた辺りでジュリアさんがやってきて、ゲームを始める。


「日曜の夜だねー」

「そうですねー。ゴールデンウィークが終わると祝日が7月の中旬までないんですよね」

「嫌だねー」

「また1週間頑張りましょうよ」


 まあねー。


「おぬしら、毎週、同じようなことを言っておるの」


 パソコンでアニメを見ているサクヤ様が呆れる。


「そりゃそうですよ。宝くじ、当たんないかなー」

「宝くじ当たったら何を買います?」

「車かなー?」


 外車とは言わないけど、普通車。


「良いですね」

「ジュリアさんは?」

「うーん、服とかですかね? あとソシャゲで天井まで課金します」

「良いねー」


 俺達は宝くじも買ってないのに夢の話をしながら過ごしていった。


 土日を終え、翌日から1週間が始まる。

 特にイベントらしいイベントもなく、黙々と仕事をこなしていき、仕事を終えると、ジュリアさんとに夕食を御馳走になったり、逆に俺が作って、一緒に食べたりした。

 そして、金曜にルイナの町に行き、ボアのバター焼きを食べると、俺の部屋で過ごす。


「かなり終盤まで来たね」


 勇者ジュリアはレベルが40の大台に乗っており、あと少しでクリアできそうだった。


「ですかね? もうちょっとレベル上げしてから魔王城に行こうと思います」

「さすがに99までは上げないでいいからね」

「そこまではしませんよ」


 ジュリアさんが苦笑いを浮かべる。


「明日は午後からだったよね?」

「そうですね。昼の1時で予約しています」


 となると、午前中に掃除と洗濯だな。


「じゃあ、昼にウチにおいでよ。なんか作るからさ」

「いいんですか?」

「うん。サクヤ様に迎えにいってもらうよ。それから一緒に行こう。サクヤ様、それでいいです?」


 何が楽しいかはわからないし、なんでいるのかもわからないが、タマヒメ様とあやとりをしているサクヤ様に聞く。


「ええぞ。タマちゃん、やきそば食べるか? 目玉焼き付きじゃぞ」


 あ、昼食が決まった。

 やっぱりやきそばが好きなんじゃん。


「迷惑よ」

「大丈夫ですよー」

「ほれ、ハルトもこう言っている」

「じゃあ、もらう……ねえ、これ、楽しい?」


 タマヒメ様も同じことを思っていたらしい。

 まあ、でも、2人の和服少女があやとりをしているのはすごく微笑ましい感じがするが……


「じゃあ、アニメでも見るか?」

「あんた、本当に子供ね」

「面白いんじゃぞ。1話から見せてやる」

「ふーん……」


 今度は2人で女児アニメを見だす。

 その後、11時を過ぎたくらいにジュリアさんが帰り、俺も布団に入ったのだが、サクヤ様とタマヒメ様はアニメを見続けていた。

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