第19話 マッハ20で近くを通るとこうなる
『リークリア軍がテレスへの攻勢を開始しました。既に死傷者が万単位で発生しているようです』
「あちゃ~」
まさかこっちの部隊が移動中にリークリアがテレスに侵攻するとかは想定外だった。
『戦略の変更をなさいますか?』
「うーん、そうだねえー」
いや私にだって戦略と戦術の違いぐらいさすがにわかるよ。戦略が長期的な感じで、戦術が短期的なものでしょ(正解)。
「だって催涙ガスとか麻酔弾とか乱戦になってるなら使えないでしょ?」
『はい、ペルラシオ人を巻き込む可能性があります』
人は殺したくないんだけどな。
「リークリア軍もペルラシオ人殺してるみたいだし、これは仕方がないよね...」
「言い訳良くない」
「…だったら実弾ありでいいんじゃない?。こういっちゃ悪いけど、人を殺すような人が死んでも当然じゃない?」
「それわたしたちもじゃない?」
さっきからコフィの指摘が的確すぎてぐうの音もでない。
『やっと実弾が使えるのですね!分かりました!』
「戦闘狂?」
「サイコパスAI?」
あとなんかヤバいAIいるし。あれ、テレスの周りって敵機ばっかりじゃない?。
『輸送機隊がテレスに到達するまで残り3分』
「そういえば制空権とか大丈夫なの?なんかワイバーン飛んでるけど...」
「確かに...」
コフィも分かってくれた。
『そういうと思ってました!。はい、
「「スペースプレーン?」」
スペースプレーンって大気圏往復用のロケットみたいなやつだよ?。武装とかないけど?
『見れば分かります』
「「???」」
と、ホログラムの端っこから馬鹿みたいな速度で光点が接近する。クインが分かりやすいように大きい青マルで表示した。
『通過』
青マルがテレス上空を横切った。そのままホログラムの反対側の端っこに消える。
「あっ!」
テレスの上空にいたワイバーン達が一気に地面に叩きつけられた。遠距離に居るワイバーンは横にぶっ飛ばされる。
「ああー、そういうこと」
つまり衝撃波で吹き飛ばしたのだ。スペース・プレーンはスクラムジェットエンジンで高効率で酸素を圧縮燃焼させて加速するが、大気圏内ではとてつもない速さになる。その速さが脱出速度を超え、宇宙に行けるのだから。
「ちなめにどんぐらいの速さなの?」
『時速25000㎞、マッハ20です』
「はぁ!?」
「ええ?」
『脱出速度を超えないように調節するのが大変でした、船長。この惑星は地球よりも脱出速度が大きいですから、理論上はマッハ29まで加速できるのですが、そうすると亜弾道軌道になってしまい制御が難しいのでマッハ20で我慢しました』
コイツ、危険すぎる。マッハ20ってまちがえてテレスにぶつけたらクレーターできちゃうよ!街消し飛んじゃうし!
「いや速すぎるし!、あれ、今思ったけどペルラシオのワイバーンもあったんじゃない?」
『記録にございません』
政治家が弁明するときみたいな言い方してるけど、記録にないってことはペルラシオのワイバーンはいなかったってことだよね?ね?
「なら、大丈夫なのかな...?」
「それで納得するんだ...」
『輸送機隊がテレスに到着しました。これより空挺降下を開始します』
「空挺降下?一旦地上に降ろさないの?」
『テレス陥落まで時間がないので、直接戦場に降下させます』
ホログラム上のV54の後部ハッチから次々に装甲兵員輸送車が投下されていく。
「なんかロケット噴射してるけど...」
装甲兵員輸送車は左右から逆噴射して高度を下げていた。パラシュートとかじゃないんだ....。
そして、なんか空中で砲撃を開始する。
『リークリア軍への攻撃を開始。手始めにテレス内に侵入している170万ユニットを攻撃します』
「いや戦車って空中で砲撃するもんじゃないでしょ」
逆噴射しながらヌルヌル動き回り、装甲車達は馬鹿高威力の機銃弾を空から降らせていく。
『知らないのですか?地上車両は基本的に飛行能力も有しているのですよ』
「そうなの?」
「たぶん違う」
「だそうです」
『...敵特異個体を発見、どうしますか?』
話そらされた。
「また魔導師?」
『いえ、城壁を破壊する魔法を使っていた大魔導師クラスです』
クインは別のホログラムで城壁が破壊された瞬間の映像を再生する。かなりの大威力だった。攻城兵器の代わりの役割を果たしているようだ。
「普通に砲撃して吹き飛ばせばいいんじゃない?」
『
逆噴射を終えた装甲車は着地すると周囲のリークリア兵に射撃を開始した。ちなめに40㎜レールガンの威力は21世紀の120㎜砲の威力と同程度だったりする。
それが毎秒数千発の速度で撃ちだされるのだ。当たった魔導師は消滅した。
ついで砲機動車型も着地し、オーバーキルにならないように低初速で砲弾を撃ちだす。
こちらの機械が咆哮するたびに数百単位でリークリア兵が飛び散り、肉片がまきあがる。数分で辺り一面は血まみれになった。
「まあ、こうなるとは分かってたけど...」
『残敵掃討を開始します』
出番のなかったMMSやAMSが下車し、建物や瓦礫の隙間に侵入していった。
流石に少数であればMMSやAMSに装着させたテーザーガンで無力化できる。
唖然としているペルラシオ人たちを前に機械兵達はリークリア兵をさっさと拘束していく。
200万はくだらなかったテレス内のリークリア兵はその殆どが戦死し、運がよかった数千人のみが拘束された。
『高高度偵察機が新たな敵群を補足、大魔導師クラスが100以上』
「なんでまだいんの?」
『というよりは城壁の破壊が終わった時点で後方に下がっていたと思われます。それが出撃してきたのではないかと』
そう言う間にも大魔導師達が直径数十メートルの魔法陣を次々に展開する。
砲機動車20両が砲撃を行うがすべて弾かれた。
巨大な防御魔法壁が貼られていた。
「うっわ、これこそチートじゃん。だって...えーと、100㎜レールガンのマズルエネルギーってどんぐらだっけ?」
『250メガジュールです。21世紀の120㎜砲弾の20倍の威力です』
「それ防ぐとかチート以外の何物でもないよね」
「だから、
『チートの定義についてディスカッションしますか?』
だいぶ話がそれているような....
「いや、そんなんことよりも、なんかヤバそうな魔法展開してるけど....」
城壁外に集結した130人の大魔導師達は超大型大魔法を展開していた。
『集中攻撃を行います』
「無慈悲...」
魔導師達はまだ詠唱の途中なのにクインは全部隊に攻撃を指示した。毎秒数億発の大小の銃弾やら砲弾が放たれる。
「「...べからず、神よ我に加護を、国に力を与えたまえ...
次の瞬間、全てを包み込む爆発と目を焼き尽くすほどの閃光があたり一面を襲った。
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