第39話 オレの居場所

 オレの居場所ってドコかな?

 実家であるランバート伯爵家のオレ部屋で、ソファーに寝転がって天井見つめて考えてみる。

 見慣れた天井がそこにはあるだけで、何か答えをくれるわけではない。

 けれど、この天井の下で生きるしかないミカエルオレは、もう居ない。

 【オメガ】として生まれたオレには選択肢なんてなかった。

 自分で決めたことなんてない。

 それでも困った事なんて無かった。

 お母さまが全て手配していってくれたからだ。

 兄さまたちに守られ、お金に困ることもなく、必要な教育も受けられた。

 【オメガ】としては珍しく、体だって鍛えられた。

 知識もある。

 魔力もある。

 魔法道具だって好きなだけ作らせて貰える。

 だけど、自分で決めてきたかと言われればそうでもない。


 【オメガ】だから。

 自分の意思だけで決められる事ばかりでないのは、人生のなかで散々学んだ。

 そもそも結婚だって、自分で決めたわけじゃない。

 だけど、それが無かったらルノと出会うこともなかった。

 自分で決められない事と、オレの幸せとは直接関係ない。


「でもココから先は、自分で決めていかなきゃならないんだな……」


 だからこそ、願う。

 オレの居場所。

 そこは、ルノの隣であって欲しい、と。

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